[告知]新刊『怖いトモダチ』:TBSの王様のブランチに出演しました
昨日(2月24日土曜日)テレビに出た。TBSテレビの情報バラエティ番組、王様のブランチである。
テレビを捨ててしまって20年以上経つわたしでも知っているこの大長寿番組に、著作が取り上げられるのは3度目(1度目はTBSでドラマ化された『残花繚乱』、2度目はよく売れたのでランキングコーナーでも何度か取り上げてもらった『嘘を愛する女』。)だが、本人が出るのははじめてのことだった。てっきり今回も本だけが出るものと思い込んでいたわたしは、担当編集者とのやりとりの中どうやら自分も出るらしいと気がついて、慌てふためいた。
たまたま美容院に行ったばかりではあったが、予約時間の直前に頭にくることがあり、馴染みの美容師につい「ガラッとスタイルを変えて厄落としをしたい」と頼んでしまったせいで、まだしっくりこない髪型であった。
加えて、一昨年の後半から昨年まるまる、はじめてのノンフィクション作品である『母をさがす ― GIベビー、ベルさんの戦後』の取材と執筆のため、他の仕事がまったくできず貧乏を極め、新しい服の持ち合わせもなかった。唯一新たに買った服は、半年前にその本の主役ベルさんを扱ったドキュメンタリー番組で着てしまっていたのである。
収録の前、行きつけの新宿三丁目スナック雑魚寝でぶつぶつとそんなことを話していると、よく顔を合わせるお客の一人から、
「何を言ってるんです。視聴者はあなたの本のことを知りたいんですよ、顔や服はどうでもいい。本の話をちゃんとしてきてくださいな」
と言われ、気を取り直した。
出演したのは、番組内の《BOOK特集》コーナー。そこで、新刊小説『怖いトモダチ』を取り上げていただいた。
この小説は、わたし自身の体験を元に書いたサスペンスだ。一人の人間の正体を探っていくという点では、ミステリー小説とも言えるかもしれない。
テーマは "ナルシスト" 。サイコパスとも近い性格異常の病気 "自己愛性パーソナリティ障害" のことだが、番組のインタビューではその名称は出さなかった。誰に言われたわけでもない。センシティブなことだとわかっていたので、自主的にオブラートに包んだ。それでもなお、放送でその部分は大方カットされていた。それでよかったと思う。
番組の中で、わたしはこれまでこの病の人に2人出会ったと話した。2人に医師の診断書がついていたわけではないが、感覚として「あれは病気だった」と判断した例が2件あるのだ。
なぜそんな判断ができたかというと、他ならぬわたし自身がこの病の傾向を持っているからである。20代の頃までは病気に限りなく近いほどその傾向は強かった、という自覚もある。根拠は、小説中にも出てくる「診断テスト」だ。気になる方は、ぜひ小説を買って読んでみてほしい。9つの項目のうち5つ当てはまればこの病と言われるが、わたしは子供の頃3つははっきり当てはまった。場合によっては4つ。
この病気はよく「本人が苦しまず、周りが苦しむ病気」と言われる。だからなかなか治療に繋がらないと。それゆえ被害者は逃げない限り苦しまされ続け、最悪な場合は命にかかわる結果にもつながる。とても怖い病気なのである。
しかし、それは病気の域に達してしまった人だけであり、「傾向」程度の人は実は自分も苦しい。少なくともわたしはそうだった。だからこそ、人に言われて気がつくことができ、自分を省みることができ、積極的に自身を改善することができた。
性格を変えることなんてできないと思われるであろう。しかしそんなことはない。性格と行動には密接な関係がある。人は行動を変えることで、性格をよい方向にもっていくことができるとわたしは信じている。なぜなら、自分がそうできたからだ。
具体例は、小説中にYouTuberチャコの体験として書き込んだ。気になる方は、ぜひ本を買って読んでほしい。
「謝ったら死ぬ病」とは、まさしくかつてのわたしのことである。これも自己愛性パーソナリティ障害の特徴のひとつだ。そのせいで、他人の忠告をいっさい素直に聞き入れられない。反論も許せない。そういったものはすべてわたしを攻撃してくる「敵」だと捉え、敵には「勝たねばならぬ」ので、負けを認める「謝罪」などできようもないのであった。
わたしはそれを、克服した。根っこにある性質に逆らって、自らのある行動をあらためたのである。とても辛かったが、根気強く続けたらいつの間にか素直に人の話が聞けるようになり、反論は「敵」ではないと認識できるようになり、謝るべきことを謝れるようになった。すると、人生がとんでもなく楽になったのだ。
つらつらと自分のことばかり書いてしまったが、この病について理解することで、救われる人がいると言いたかった。そんな人たちに届いてほしい。『怖いトモダチ』絶賛発売中です。ぜひ本を買ってお読みください。
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