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いつの頃からか、季節とは、これまでの時間を五感から想起させるノスタルジアのことではないかと思うようになった。 きっかけは、以前から夏になると現れる、心が過去の夏に紛れ込んでいく感覚、その、何万本という花の重石に圧迫されているがごとき息苦しさと官能を、何と表現すればいいのかと考えたことだ。ふと、それこそが季節というものではないかと思いついた。一旦思ったらもう、そうとしか考えられなくなった。 以来、風の匂い、空気の肌触り、風景、音、気配、そうしたものから過去を思い起こし、掻