自分で自分の行動にびっくりした話
これは私が30歳頃の話である。
その頃人材派遣会社に勤めていた私は残業も多く毎日21時半過ぎに会社を出て家に着くのは23時という生活だった。
その上、月に2度は土曜出勤があるという忙しい日々だったのに、ものすごく恋愛も充実していて仕事も恋もどちらも楽しんでいた。
その時付き合っていた彼も忙しい仕事で土日も出張が入ることも多かったので、平日に会う時は22時ぐらいに集合して一緒にご飯を食べお互いの職場に近いホテルに泊まっていた。
ある時、私が品川オフィスに直行することになった為、前日一緒に品川プリンスホテルに泊まることになった。
確かその日は近くの居酒屋で大盛り上がりし、じゃあ部屋に行くかとホテルのロビーに入ると私の携帯に会社から電話がかかってきた。
少し離れたところで渋々電話を取り用件を済ませ、彼が待つエレベーターホールに向かうと奇妙な光景が目に入った。
エレベーターホールにいた修学旅行生らしきJKが数名、彼を見て「え、やば。あの人かっこいい!やばー」みたいな感じでわちゃわちゃしていたのだ(実際にJKの声は聞こえていませんがそういう雰囲気でした)
エレベーターホールにいたのはJK数名と彼だけ。
でも慎重なA型である私はミスを犯したくないため、振り返ってイケメンがいないか確認をした。
しかし背後にはJKが騒ぐようなイケメンは見当たらなかった。
これは彼を見て騒いでいる。
そう確信した私は、全くJK達に気づかずぼーーーっとエレベーターの階数表示を見ている彼に向かって走り出した。
そして横から彼の左腕に絡みつき「おまたせー♡」と少し大きめの声で言い左腕の陰からチラッとJK達に目をやった。
わちゃわちゃしていたJK達はピタッと動きを止め「何あの女」と言わんばかりに冷たい目で私を見た。
勝った
そして満足した。
30にもなって未来あるJK達に勝負を挑み勝ち誇った私は本当に大人気なかったと思う。
そもそも普段人前で飛びついたりしないので彼も彼で「なんだこいつ」という顔をしていたが、そこでエレベーターが来たので「ほら行くぞ」と腕に絡みついた私を引きずってエレベーターに乗り込んだ。
JK達は当然乗ってこなかった。
エレベーターが閉まると絡んだ腕を振りほどいて「今さ、女子高生があなたのこと見て騒いでたよ」と言うと「えーほんとに?全然気づかなかったー」と言ってまた階数表示をぼーっと見ている彼。
しばらく沈黙が続いた後、突然「お前だから突然ベタベタしてきたんだろ。性格が悪い。せっかくモテてたのに信じられない」と激しく罵ってきた。
そんなの当たり前じゃん。ふっ。
と鼻で笑って聞き流したが、そのまま部屋に着くまでずっと罵られていた。
よっぽどモテていたことを邪魔されたのが悔しかったんだろう。
それにしても今思い出してもなぜこんな行動を取ったのか自分でもわからない。
ただひとつはっきり言えることはその時感じていたことは嫉妬じゃなくて優越感だったということだ。
これがマウントというやつなのか。
ちなみに彼は恋をしていた私にとってはイケメンだったが、他の人にとってどうだったかはわからない(好みがあるしね)
背が高いので割増された可能性も捨てきれない。
我ながらびっくりなことをしていたが、これから万が一同じ事が起きたとしても大人として余裕を持った行動が取れるように心がけたいものである。
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