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血も凍る

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怪談ツイキャス「禍話(まがばなし)」で放送された怖いお話を、色々な方が文章に“リライト”しています。それを独自の基準により勝手にまとめたものです。
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2020年3月の記事一覧

禍話リライト『おしまいの儀式』

 度胸のある奴がいて。土木関係の仕事をしてる、俺より一、二こ上の人なんですけど。  急に呼ばれてね。大学時代の付き合いの人達に呼ばれて、「ちょっと来てくんねぇか」って。  何だろう、と思ってね。飲み会でもねぇなと思って、久しぶりーっつって行って、何かお通夜みたいな雰囲気なんですって。普段はこうイェーイ!とか言って飲んでんのに。  あれ、どうしたの?って訊いたら、 「〇〇さんって覚えてる?」って言うから、「あーあの先輩のね」って。まぁAさんとしておきましょう。  あのーちょっと

禍話リライト『あ・た・し』

……あのー、結局、結論からいうとこっくりさん禁止になった、っていう経緯の話なんですけど。 どこぞの、九州圏内らしいんですけどね。中学校で、女の子たちが放課後、けっこう遅い、6時ぐらいまで残ってね。こっくりさんやってたんですって、教室で。 いつものようにこっくりさんが降りてきて、なんかこう色々訊いてたんですって。 そしたら、だいたいこっくりさんってそうなんですけど、訊くことなくなってきちゃって。15分ぐらいしたらなんか訊きたいこともなくなってきて、どうしようかなーって思って。

禍話リライト「ノックとごあいさつ」

 Aさんが住む家は、何の変哲もないごく普通のマンションの一室だった。事故物件でもない。不吉な謂れもない。おかしなことも起こっていない。  その夜、コンビニ弁当を手に帰宅したのは二十二時頃だった。二十代男の一人暮らしである。  食事を済ませたAさんはトイレに入った。水を流してトイレを出ようとしたその瞬間、ドンドン、とトイレの壁を叩かれたそうだ。便器に腰掛けたとき左側に位置する壁だ。その向こうはクローゼットになっている。  Aさんは驚いたものの、クローゼットの中のハンガーがぶつか