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フランスバターの王様は5銘柄。エシレは何が良いのか?

フフランスのバターはすべて発酵バターである。かつて農家ではバターを作っても冷蔵できなかったので、バターも自然に発酵していた。しかし、牛乳を殺菌する現在の製法ではその香りが失せてしまうので、わざわざ乳酸菌を添加してバターを発酵させて、風味と香りをつけるのである。

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そんなフランスのバターの中でも政府から原産地呼称名所A.O.C.(現在はA.O.P)を与えられている王様バターたちが存在する。それは5銘柄。ノルマンディー地方のイジニー (Isyny)、ローヌ・アルプ地方のブレス (Bresse)、そしてポワトゥー・シャラント地方のシャラント・ポワトゥー(Charentes-Poiteau) とシャラント(Charentes),ドゥー・セーブル( Deux-Sevres)である。

日本でも有名なエシレのバターはドゥー・セーヴル県のニオールに近い農村、エシレ村の農家で朝搾乳された牛乳が直ちにエシレ社に運ばれて製造される。このバターは「シャラント・ポワトゥー・デ・ドゥー・セーヴル」 (Charentes Poiteau des Sèvres) とも呼ばれているが、搾乳から24時間以内に最終段階の攪拌を行うことが決まりだ。

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この地方の地方のバターがA.O.C.(現在のA.O.P.)を取得したのは1979年である。しかし最初から認められていたわけではなかった。19世紀初頭か
らバターの製造が盛んでパリにも販路を広めたが、そこでは既にカロチンやビタミンの含有量が高く色の濃いノルマンディー産や、ロワールから運ばれてくる良質なものが市場を独占していた。そこでポワトゥー・シャラント地方でも農業組合を立ちあげ、良質なバター生産に取り組んだというわけである。土地が生んだ良質な材料、気候
風土、そこに発酵や熟成などさまざまな要素が混ざり合い、人々の努力によって実現されたおいしさなのだ。

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