見出し画像

マレーシア地方の国立病院 治療費は安いが

 肩の痛みがなかなか治らないので、今日初めてクランタン州コタバルにある国立病院に行きました。長くマレーシアに住んでいますが、国立病院での治療は初めて。なかなかハードルが高い!


■国立病院での登録まで

 国立病院は一般に治療費は安いと聞いていました。以前、友人のお母さんがKLの国立病院でがんの手術をしたところ、なんと手術代が500リンギ(現在のレートで1万6000円)だったとのこと。入院代や治療代もそれほど高くないのが、特徴なのです。外国人も利用はできるのですが、難点はものすごく時間がかかり、ハードルが高い。

 今回行ったこの病院は朝8時に受付を開始。初めて行くこともあり、だいたい時間もかかるだろうと思って7時には到着したのです。ところが、初診で登録をするところが皆目わからず。日本の病院だと1か所でやると思うのですが、この病院は診療部門に登録が分かれている。それはまあ、いいかと思うのですが、そもそも病院全体の地図が見当たらないので、どこに何があるのかがさっぱり。グーグルで検索しても、ピンは出てくるものの、道もなくどうやって行ったらいいのかがわからない。
 
 整形外科に行くために何人もの人に聞いてやっとたどり着きました。ところが、ここは診療するところであって、登録するところではないとクランタン語で言われ、口頭だけで道を教えてもらいました。

 マレーシアの人たちはいつもそうなのですが、地図は出さずに口頭だけでいつも説明をする。これは僕にはいつもわからないので、一応聞きはしますが、この説明でたどり着いたことは一回もないのです。

 それでもまた、うろうろして何とかPendaftaran(登録)という表示を見つけて登録を済ませましたが、ここまで来るのに1時間かかった。

はたから見るとクリニックに見えないが、ここがメインの建物

 登録料は120リンギ(約4000円)で、高いなあと感じつつ、診療所に。整形外科の受付で番号をもらったその直後、医師からメッセージが来ました。この医師はもともと知り合いでそれでこの国立病院にいるこの医師のもとに行ったのですが、「レントゲンをまず取ってほしい」と言われました。

■レントゲンを取るために

 確かに骨と筋肉を見るためレントゲンは必要です。しかし、このカフェもレストランも入り組んだ病院の中でレントゲン室を探すのはまた一苦労しそう。そう思っていたところ、番号掲示板に僕の番号が出て、診療室番号が指し示されたので、そこに行きました。

 そこには2人ほど職員がいて、レントゲン室へ行くための準備をしてくれてました。黄色い紙をもらったのですが、男性職員が「まずはレントゲン代を払って下さい」と指示。その払うところは「ここです」と地図をコンピューター上で見せてもらい、支払う場所とその行き方を指し示してくれました。そんなに離れたところではないのですが、初めてみたその地図を携帯電話で写真を取ってそのとおりに行きました。

話にならなかった地図

 ところが、この地図はなぜか間違っていて、話にならない。3番カウンターというので行ったものの、そこは次のアポを取るための手動のカウンター。何人か並んでいてそれに釣られて並んだのですが、ふとUntuk Temujanji(アポ用)というのが目に入り「あれっ?」と思って前に並んでいた人に聞きました。確かにアポ専用のカウンターで、支払いカウンターについてはわからないと。

 意味のない地図を少し見つつ、そのカウンター近くにPembayaran(支払い)というのが出てきたので、そこにいたインド人のお兄ちゃんに聞いたら、「そうだ」というので紙を渡す。

 レントゲンだからこれも高いのかなあ? ともうここまで来るのに疲れてぼーっと考えていたら、「20リンギ(約600円)です」と。「20リンギ?」と聞き返してしまいました。安すぎる!

■やっとレントゲン撮影

 それを支払って今度はレントゲン室に。地図はもう見ても意味がないので、X-Rayという表示を途中であちこち歩き回るなかで見かけていたので、その記憶を頼りに行ってみるとそこがレントゲン室でした。

 ここまで来るにはワイシャツはすでに汗でビショビショ。レントゲン室は何と凍るぐらい寒いではないですか。そこに入って黄色い紙を渡し、番号をもらうと7人待ち。まあ仕方がない。

 レントゲン室は2つあって、レントゲン室1は男性用、2は女性用だった。男女を必ず分けるイスラームの教えはここでも徹底されています。

 かなりクタクタになって寒いなかで30分ほど待ってやっと自分の番。両肩全体を撮ってもらいました。

 以前に健診でレントゲンを撮ってもらったときもそうですが、マレーシアではもうレントゲン写真を原則として印刷はしないのです。サーバーの中に入れて医師が診療室でコンピューター上で見えるようにするだけ。実にそこは最新になったのですが、建物はボロボロ。かつてマラヤ大学にいたときのオンボロ校舎を思い出したほどです。

■ようやく診察

 それがやっと終わって知り合いの医師に連絡。診療室の外には椅子が並んでそこでも待てるのですが、涼しいので中に入って待っていると医師がすぐに来てもらって診察をしてもらいました。

 これまでの経過や筋トレは2か月はしていないなどを話し、腕を動かしたりして確認してもらい、さっき撮ったレントゲン写真もチェック。骨には問題ないとのことで良かったのですが、診断結果は「腱板損傷」。あと1か月ほどは静養する必要があり、薬も飲んで下さいとのことでした。次回は8月に来て下さいとのことで、終わりましたが、診察は15分ほどで終わりました。さて、薬はどこで?

■薬事局へ行ったものの

 薬はなぜか一括で提供する薬事局があって、今度はそこに行くことに。もうどこかわからないので、医師が助手に頼んで連れて行ってもらいました。

 ここで登録したときにもらった細長いカードを出したところ、「支払いを済ませてから来て下さい」とのこと? 支払い? 確かに支払いはしないといけないけど、それはここではないのかと思って聞いたところ、「別にところである」とのこと。そこはどこなのか聞いたところ、また口で説明する。「礼拝室の近くだ」というけれど、礼拝室がどこかわからないわけで、とりあえず指を指された方向に行くことにしました。

 「さっきレントゲン料を払ったところなのではないか」

 と思い、少し迷ったものの、そこに到達。恐る恐るカードを差し出したところ、ここで支払うようになっていた。

 さて、薬代ですが、「6リンギです」とのこと。200円? そんなことはありえるのだろうか。さすがに「診察料は?」と聞いたところ、そのお兄ちゃんは何の話かよくわからないようで、「6リンギだけですよ」と言いつつ、よくわからない黄色いバウチャーをホッチキスで止めて渡されました。

 さすがにちょっと安すぎるので、医師のもとに走っていき「診察料は支払わなくていいのか」と聞いたところ、「政府系なので、診察料はありません。レントゲン代や薬代だけなんです」との回答。ええ? と驚きました。ということは、今回の診察はたった146リンギ(約4800円)ということ? 私立病院に行くとこの3倍は取られるけれども、確かに安いが。。。

■再び薬事局に行ったが

 そして、そのカードをもって薬事局に。すんなりとその後は受付はできたのですが、さて、ここからさらに道のりが長い。

 僕の前には10人ぐらい待っていました。しかし、番号がなかなか進まない。この薬事局は科別に分かれていて、整形外科は2000番代。それはいいのですが、薬を別のところから持ってきているではないかと思うほど遅々として進まないのです。仕方ないので、パンとコーヒーを買いに。

待たされた薬事局

 コーヒーは日本の自販機のドリップ式。「なぜここに日本のが」と思うことも頭をかすめなかったほど疲れていました。値段は2.20リンギ(約70円)。90秒待って出てきました(時間表示もついてる自販機は初めてみました)が、自販機はすべて日本語でした。本当はご飯を食べたかったのですが、コンビニはものすごく並んでいたので、やめてパンだけを買って近くのベンチに座って食べました。コーヒーはなかなか美味しかった。

 そんなこんなで40分以上待たされ、やっと薬を受け取ることに。塗り薬と飲み薬の3つが出てきたのですが、「これで200円?」と驚き。

 そして、それをもって会社に出社したのです。会社の人によるとマレーシア人に対する金額はもっと安いらしい。薬はかなり高価でいいものを使っているとも言っていました。

■結論

 さて、結論です。結局、146リンギであったのはよかったのですが、受付での登録から薬をもらうまでは総じて4時間かかりました。私立病院にいけば400リンギほどでしょうが、時間は1時間以内。これをどう見るかは人次第なのでしょうが、僕はやはり時間を優先したい。お金もなく、時間がある人(失業者?)は、まあ、国立病院がいいのでしょうが、ある程度お金を持っているとやはり私立病院に行ったほうがストレスフリーかなと。

マレー語だけの表示

 特に初めて行く国立病院は勝手が分からなかったこともありますが、KLの国立病院はシステムが壊れたとかで診察にたどり着くまで3日もかかったケースもあるとか。

 それに国立病院内の表示は英語がほとんどなく、マレー語がわからないとかなりハードルが高い。僕はマレー語がわかるので、何とかなりましたが、これが理解できないとさらにイライラが募るでしょう。

 マレー語の分かる僕でさえもこんなに時間を取られたので、となるとやっぱり私立病院に行ったほうが得策なのかと納得。いい経験はさせてもらいました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?