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マレー半島で大規模洪水なのですが

  マレー半島では12月18日から大規模な洪水が発生していました。特に東海岸のクランタン州やトレンガヌ州では一時期7万人以上が被災する事態となりました。

 洪水は毎年発生するのですが、今回は例年以上のものでした。12月17日夜あたりから断続的に大雨がマレー半島の東海岸では降り、18日から19日にかけてはほぼ一日中降っていました。
 
 河川が増水し、危険水位を超えるところが多く発生したのですが、不思議なのは、河川沿いでないところが多く被害を受けたことです。これはどういうことなのでしょうか。

 結論から言うと、排水溝が狭く、メンテナンスもほとんどやっていないためです。

 東海岸の排水溝を見ていると、幅がまず狭いのが特徴です。だいたい30センチぐらいで、深さは1メートルもない。おそらく20年以上前から何もやっておらず、雨が大量に降るとすぐに溢れるということなのだと思います。そのうえ、ゴミを除去したり、排水溝を定期的に掃除したりするということはほとんどやっていない。特にこちらの人たちは調理で使った油をそのまま流して捨ててしまうことから、生活排水の配管はドロドロ。排水管が詰まったり、油が排水溝に流れたりして固まり、水はけを悪くさせてしまっていると思われます。

 また、人口は毎年増えているにもかかわらず、排水溝の整備は遅れているのも否めません。人が増えれば、排水量も多くなるはずで、排水溝も大きくしていかないといけないのではないでしょうか。

 クアラルンプールやペナンでも毎年局地的な浸水が発生しますが、東海岸では毎年決まったところが浸水します。不思議なのは、政府はその対策をやっているのかどうか。また、住民も毎年12月には浸水するとわかっていながらそこに住み続けている。この2つの不思議も相まって、毎年浸水したと困り果てている始末。被害を拡大させないための方策はいろいろあるはずなのですが。。。

 クランタン州の場合、クランタン川という大きな川があります。この川は全長248キロで、上流は同州南部のグア・ムサン郡あたり。このあたりで雨が降ると確かに水嵩は増すのですが、水嵩が増しただけではあまり洪水は発生しないようです。コタバルでは2014年に全市が浸水する大規模洪水が発生しましたが、コタバルではほとんど雨が降らなかったといいます。それより怖いのが高潮で、上流で雨が降ったと同時に海側で高潮が発生すると街がすべて冠水するということなのだそうです。

 しかし、それさえも堤防があればある程度防げるとは思いますが、堤防らしくものはほとんど見かけません。川や海と地面が接している高さはほとんど同じで、何かあれば水がすぐに土地に入り込んでくるという有様。ど素人からみても、排水溝も問題ですが、洪水対策を真剣にやっていないというところが問題なのでは、と思います。

 日本ではあまり洪水は発生しませんので、経験がある方はあまりいないかもしれませんが、洪水が発生すると家電製品がすべてダメになってしまいます。洗濯機や冷蔵庫、扇風機など水に浸かったら使い物にならなくなり、買い直す必要があります。僕の知り合いの一人は今年2回目の洪水に遭って、洗濯機も冷蔵庫もまた買い直す必要があるそうです。年に2回も家電製品を買うのはなかなか経済的負担は大きい。

 東海岸は経済的に西海岸より大きく立ち遅れていることから、洪水対策に投資するお金もないのかもしれません。新政権となった連邦政府が早速資金援助を申し出ていますが、国政野党であるクランタン州やトレンガヌ州政府はそれを受け入れるのか。政治的な絡みもあっていつまで経っても洪水対策は進まないのかもしれません。

 ほかの州でも現在、洪水が発生しつつまります。ジョホール州やマラッカ州、スランゴール州で今後雨が断続的に降るようで、土地の低いところはまだまだ油断できません。

(写真)2014年暮れにクランタン州コタバルで発生した大洪水。スタジアムがコーヒーの入った茶碗のようになった。

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