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マレーシアで人気の飲み物ーミロ

 マレーシアに来ると、健康飲料として知られる「ミロ」をよく見かけます。実際、ミロはスーパーだけでなく、どのレストランにもおいていて、マレーシアでの消費量は世界一といわれています。しかし、なぜそこまで人気なのでしょうか。糖質中毒になっているからなのではないでしょうか。

 ミロは1934年にオーストラリアでできました。トーマス・メインという人が開発。必要なタンパク質とミネラルをすべて含む、完全にバランスのとれた飲料で、子どもも十分に栄養素を摂取できるように作られました。
 
 成分は麦芽エキスや粉乳、ココア、砂糖、ミネラル、鉄、ビタミンA、D、B1などが含まれ、生産開始当時から今も成分は変えていないとのことです。
 
 ミロの名称は古代ギリシャの選手、クロトン・ミロにちなんでいるとされています。ただ、マレーシアでは「ミロ」と呼ぶ人もいますが、「マイロ」と呼ぶ人もいます。

 ミロは緑のパッケージが目を引きます。世界各地に市場があって、日本でもみかけますが、マレーシアほどではありません。僕の記憶では子どものときにちょっと飲んだことは記憶していますが、マレーシアにきてびっくり。どこでもある上に大人も毎日飲んでいるのです。

 ミロは現在、大手飲料のネスレが製造していますが、ネスレ・マレーシアの2割の売上に寄与しています。それほど消費量が多い。飲み物としてだけではなく、ケーキに入れたり、アイスクリームにしたり、インスタントヌードルの汁にする人もいます。それほど人気なのですが、これはミロが「糖の塊」であることが理由の気がします。

 上記で成分を述べましたが、このミロは麦芽、粉乳、砂糖、ココアの4つが主な原料で、つまり、そのほとんどが炭水化物。炭水化物は糖質と食物繊維の総称で、人間のエネルギー源の一つとなっていますが、この糖質が問題なのです。

いろんなミロ

 マレーシアはアジア地域で最も肥満率が高い国としても知られます。国民の26%が肥満と認定されてます。それもそのはずで、とにかく朝から晩まで糖質をよく取るからです。

 朝は国民食ナシ・レマ(日本語に直すと「脂肪の米」)を食べます。ココナッツミルクを混ぜた白米に鶏の唐揚げ、煮干し、豆、卵をつけたもの。これだけで1000カロリーほどありますが、さらにコンデンスミルクをたっぷりと入れたコーヒーを飲んだりする。

 昼も脂っこくカロリーが高い食事をよく取り、夜は夕方に食べた後に午後11時以降にまた食べ始める。糖質の高いミロも食事といっしょによく飲まれるのです。

 こういった生活をしていると太るのは当然なのです。子どものときからミロを飲み、ミロ漬けにさせられているので、大人になってもやめられないのではないかと思うのです。

 ミロは「健康飲料」とされていますが、糖質が多いためにこれを疑問視する声も挙がっているそうです。

 糖質は摂取しつづけると中毒になることは知られてます。最終的に深刻な慢性病になりますが、案の定、マレーシアでの死因は心臓病が最も多い。原因はいろいろとあるのでしょうが、糖質のとりすぎがこういった結果をもたらすのでしょう。

 ミロがマレーシアに市場を拡大したのは1950年から。独立以前からすでにあるということになります。今年73年目の展開なのですが、少なくとも73歳までの多くの人はこれまで飲み続けてきたと言ってもいいでしょう。

 親も飲んでいたら、子どもも飲むわけで、家には常時ある飲み物。いつも手元にあるというネスレの戦略が功を奏したわけです。スーパーではミロがよく売り切れるのをよく見ますが、やはり中毒になっているとしか思えません。ほかの類似品もありますが、やはりみなミロを買うのです。

 商品のイメージもそうさせているのでしょう。緑はイスラムの色。それが惹きつけている上、「健康飲料」との触れ込みや「みんなが買っているから飲む」ということにもなるのかもしれません。

 一方で、コーラは「甘くて健康に良くない」とのイメージがあり、それほど売れているわけではなさそうです。実際当たっていますが、最近は健康志向のコーラも発売されていますが、やはりイメージは簡単に崩せない。

 ミロのほうが最初からその辺の戦略がうまかったのでしょう。それが親の世代からずっと信じられてきたからミロの「いいイメージ」が浸透しているのでしょう。

 いずれにしても今後もミロは売れ続けるようですが、肥満体質から脱却するには飲まないほうが無難ですが、さて、中毒になってしまった国民にそんなことを言っても無駄かもしれません。
 
 

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