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マレーシアではワニに気をつけましょう。

 マレーシアは発展してきている国であるのですが、実は野生の動物がまだまだ多くいます。なかでもワニの生息は多く、ここ数年はワニに襲われる人々が増えているようです。

 ワニはマレー半島西海岸やボルネオ島に多く住んでいます。スランゴール州やジョホール州の川でみかけることもしばしば。ホタル観賞で観光地として有名なクアラ・スランゴールでもときおりみかけます。数年前だったか、クアラルンプールを縫う川でも大きなワニが泳いでいるところが写真で撮られたことがあります。
 
 ボルネオ島(サバ州とサラワク州)ではより事態は深刻です。川が多いせいか、ワニたちは町中にも出てきます。中でもサバ州コタキナバルでは洪水ともなると排水溝にワニが出現します。道路を横切ることもあり、とても危険。街の中でもこんな状態ですから、田舎の村々では人が襲われることが多い。
 
 直近では5月23日にサンダカンの海岸を歩いていた5歳の男の子がワニに襲われました。遺体は現場から2キロ先に浮いているのが発見されたとか。また、同月6日にもダラット郡の川沿いでエビの釣りをしていた男性が襲われ、遺体が浮いているのが発見されています。昨年12月にはボートに乗っていた親子が襲われ、1歳の幼児が食べられてしまいました。

 だいぶ古いデータですが、2007年から2020年まで行われたサバ州を走る河川10本を調査した結果、2886匹のワニが確認されました。中でも同州東海岸にある全長560キロのキナバタンガン川では1368匹が確認され、州内で最も多い。

 ワニは1回あたり40~90個の卵を生むそうですが、1年に1回は産卵しているとか。となると、上記以上の数字のワニが生息していることになります。

 しかし、専門家はワニの生息数が増えているわけではないと指摘しています。ここ数年、ワニによる襲撃が増えたのは「アフリカ豚熱」によってワニが捕獲していた豚の数が減ったからだと説明。同州では確かに2021年にアフリカ豚熱の流行宣言が発令され、多くの養豚場の豚が殺処分を受け、野生のイノシシもこのウイルスにかかって死にました。このため、ワニの食べるものが減ってきて、人間を襲っているとのことです。

 そうかもしれませんが、これは誰にも確認ができません。いずれにしても、ワニに襲われるニュースが年々増えてきているのは事実です。

 野生動物保護局はワニを捕獲するのですが、多くは人里から遠く離れたところに放すようです。ただ、人間を襲ったとみられるワニは殺してしまうそうです。体内を調べると人骨がいくつも出てきたというニュースもこの前出ていました。

 このため、マレーシアでは川のそばにはあまり寄らないほうが無難です。特にボルネオ島の川付近は絶対近寄らないことにしましょう。町中であっても同様です。ペナン州でも2021年に全長4メートル、体重500キロのワニが発見されており、油断ができません。このワニは他の州をまたいで生息していたとみられるとのことです。特に観光地となるところでは油断してしまいますが、どの地区でも川から離れていたほうがいいでしょう。

 一方で、マレー半島東海岸にはワニはいません。この地域になぜいないのかはよくわかりませんが、川がそれほど多くなく、ワニが好むマングローブ林はほとんどないことと関係しているのかもしれません。ワニは淡水で主に生息しますが、イリエワニは海水でも泳げます。ただ、これまでのところ、東海岸で発見されたことはなく、おそらく生息していないのでしょう。ただ、異常気象の影響で生態系も変わる可能性もあり、将来はわかりません。

 ということで、日本ではあまり見慣れないワニですが、マレーシアには結構いますので、河川沿いに旅行に行ったりする場合は気をつけるようにしましょう。

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