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ウクライナのこと

ウクライナの英雄、アンドレイ(アンドリー)・シェフチェンコが表紙のNumberPLUS「欧州蹴球記」が手元にある。2006年のドイツワールドカップ本大会に向け、ウクライナが史上初めて本戦に出場を決めようか、というタイミングで発行されたものだ。



高山文彦氏がシェフチェンコについて執筆した「アンドレイの瞳。遥かなる祖国へ」と題するカバーストーリーは全7章の大半を使いウクライナの歴史を説明。周辺諸国に支配され続け、ソ連に翻弄された国の歴史を概説している。

本文で言及されている支配の歴史は、モンゴルに始まり、リトアニア、ポーランド、ロシア、ドイツ、ソ連と続く。

そんな被支配の歴史の中で、最後にウクライナを支配した共産主義国家、ソ連時代の描写が続く。

歴史の教科書で読んだことのあるソフホーズとコルホーズを現実に経験させられたウクライナの農民の悲劇は、ウクライナ国民の多くが世代を超えて未だに引き継いでいる記憶なのだろうと思う。知識として知っていることなのか、経験を通じた実体験なのかで現実感は大きく異る。
だからこそウクライナの人たちは、ゼレンスキー大統領以下、血をいとわずにロシアの侵略に反抗しているのだろう。



1991年のソ連崩壊に伴い形式的に独立したウクライナは、2004年11月に行われた大統領選が契機となったオレンジ革命を経て民主的に大統領を選出した。多くの犠牲を払って手にした独立は、だから彼らにとって命をかけても守るべきものなのだ。

そんなウクライナのNATO加盟への動きがロシアを慌てさせた側面があるという解説があった。テレ東の豊島晋作氏が2022年2月9日にyoutubeに公開した動画でロシア側のロジックがある程度説明されている。

その文脈で言うと、本田圭佑の「独立を守ることとNATOに加盟することはイコールではない」との発言は、ロシア側の立場を代弁しているとも言える。

その一方で、ウクライナの独立への強い意志を理解する必要もある。それは僕ら日本人にはあまりよくわからない感情なのだろうと思う。

「ゼレンスキー大統領が亡命することでウクライナは戦闘を停止。ロシアの占領を受け入れることで多くの国民の命が助かる」という発言も一部であるようだが、ウクライナの受難の歴史を知っていれば、奴隷の身分で命をながらえるよりも、命をかけてでも独立のために抵抗しようとするウクライナ人の気持ちはわかる。

プーチン大統領は、心身のバランスを崩しているのではないかとの意見が出始めている。パーキンソン病ではないかとの声もあるようだ。仮に正常な判断ができない状態なのであれば、そんな人物が核のボタンを押せる現状は恐怖でしかない。現状、ロシア国家への批判ではなく、プーチン大統領個人への批判が強まっているのは、プーチン大統領個人を断罪することでロシアへの批判を逸らす意図もあるのだろう。そうやって世界からプーチン大統領の異常性を報じることで、ロシアが自らプーチン大統領を排除する空気を作っている側面もあるのかもしれない。


いずれにしても、ウクライナはなんとか持ちこたえてほしい。そして、どれだけの犠牲を払っても独立を維持するのだという強い意志を世界は見殺しにしてはいけない。

■みなさんができることのひとつ。

○ウクライナの生活物資購入のための募金


○ウクライナ軍への募金

○国連UNHCR協会の募金
https://www.japanforunhcr.org/campaign/ukraine

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)への募金の日本の窓口

1950年に設立された国連の難民支援機関です。紛争や迫害により故郷を追われた難民・避難民を国際的に保護・支援し、水や食料・毛布などの物資の配布や、難民キャンプなどの避難場所の提供、保護者を失った子どもの保護や心のケアなど、最前線で援助活動に尽力しています。1991~2000年の間、緒方貞子さんが第8代国連難民高等弁務官を務めました。
この国連の難民支援活動を支えるため、広報・募金活動を行う日本の公式支援窓口が、国連UNHCR協会です。
→引用




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