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田舎の石油小売業の小さな会社が、ドローン事業に踏み切る理由

こんにちは!福岡県飯塚市にある、江藤石油グループ・株式会社えとうです。91歳を迎えた企業の初めての記事、もしよかったら目を通していただけると嬉しいです。

1931年の創業時から、現在

江藤石油グループは1931年に創業、約90年に渡って石油製品の小売・供給を主とし、事業を展開してきた会社です。地域のお客様のご愛顧と支えがあって今でもこの地で事業を続けていますが、石油業界は車が移動手段の主流になって以降、過当競争や業界の再編を経て、1995年以降に60,000店から30,000店に半減するなど厳しい状況が続いています。また、規制緩和の流れで現在は約3店に1店がセルフサービスの給油所。なんと直近3年間においては、社会情勢の影響の大きさや後継者不足の問題もあり、1日平均1~2カ所の給油所が廃業・撤退に追い込まれているそうです。

自家用車で灯油を購入されるお客様用の給油機

しかし特に地方の田舎では、交通手段としてまだまだ車が必須。かつ高齢者の一人世帯が年々増える中、移動のために必要な石油や盆地で寒い冬を乗り切るための灯油を届けるということは、皆さんの暮らし自体を支えるということだと思っています。洗車もタイヤ交換等も、快適に車に乗り続けられるように、と都度念入りにチェックし、スタッフ一同が安心・安全な移動をお手伝いしたいという気持ちで行っています。飯塚市で暮らす方々の安心・安全な移動や暮らしをサポートしていくには「人と人との繋がり」「お客様との関係性」が最も大切。そのため、あえてフルサービスにこだわり続け、ガソリンの給油から洗車、車検、保険、灯油の小口配送等を行ってきました。今後も同様に単に物を提供するだけではなく、この地域の暮らしの基盤を支えていきたいという思いで、人を中心としたサービスを続けていく予定です。

安全を守るためのタイヤ交換

地方の中小企業がドローンを始める理由

そんな中、私たちは『ドローン事業』という、一見石油を扱う事業とは全く異なる取り組みを始めました。

元は、上記の通り石油業界の市況の厳しさに今後の事業の未来について検討し始めたことが発端でした。いくら生活の必須であるとはいえ、脱炭素社会に向けた動きが加速しており、ガソリン車自体が数十年後には主流ではなくなる。大手の石油の元売り企業も、続々と新業態への移行を見込み、新しい取り組みを始めています。私たちも例外ではなく、いくら90年に渡ってお客様に支えてきていただいているとはいえ、このままでは生き残っていけません。私たちに何ができるのだろうか、と考えた時、たまたま知ったのがドローンの存在でした。数年前に初めて見た「空飛ぶクルマ」という存在は、とても衝撃的で。今では、お正月のニュース番組で初日の出や美しい情景を映すドローンの映像が恒例になってきましたが、その空撮以外の役割は知らなかったのです。

飯塚市上空から撮影した映像の一部

空撮は、ドローンができることのほんの一部。現在は、ドローンと赤外線サーモグラフィーを活用することで、建物の調査・点検・診断等にも対応が可能で、農薬散布や肥料散布による農業支援にも積極的に導入されています。高層のオフィスビルやタワーマンションなど、赤外線カメラでは撮影ができない高さのある建築物や都心など隣接建物が多い立地条件の建物などに関してもドローンであれば問題なく迅速な調査が可能で、ドローンによる調査は、その検査の有効性が認められ、法改正も実現しています。原野、山林、崖、高層ビルや工事現場など、人的測量が危険な場所での測量にも安全に取り組むことができ、人手不足の解消にも期待が寄せられています。

ご依頼いただいた工事現場の定点観測の様子

これまでは、趣味用のドローンが主流でしたが、ここ数年は産業用に使われるようになり、今後「空飛ぶクルマ」として物流や人の移動にも使われるようになると言われています。10年後には、普通に運用されているようになる、とも。車に使われる主流のエネルギーが電気に転換していくだけではなく、移動のあり方自体が大きく変わっていくかもしれない。

地方の小さな企業ではあるけれど、地方の小さな企業だからこそ、そんな可能性から目を背けてはいられないのです。

江藤石油グループのこれから

車が量産化され始めたのは、1900年の初頭。日本で純国産初のガソリン車、国産で初めて実用化されたガソリン自動車が誕生したのが1907年(明治40年)。その後、1930年代に入って自家用車が少しずつ普及するようになり、私たちの会社もその頃に誕生しています。これまでの90年はガソリンをはじめとした石油製品や灯油の販売、サービスを通じて車による移動をトータルでサポートする事業を展開してきましたが、これから先、それだけではなく、どのように地域の方々の安全・安心な暮らしをサポートしていけるのか、この飯塚市に貢献していけるのかをもっと考えていかなければなりません。

農協と初めての農薬散布の試み

特に地方では、やはり新しいテクノロジーの導入にどうしても遅れを取ってしまいがちで、私たちもまだまだ企業として変えていかなければならない部分が多くあります。しかし少しずつ、私たちがドローンの事業を始めることで、同じ地域の方々と新たな取り組みや仕組みの導入を進めていけたら、と考えています。今後、ドローンが産業やさまざまなシーンで活用されていく未来に向けて、飯塚市でも操縦できる人材が増えていくことも、地域の新しい可能性を広げていくために必要です。

もちろん、自分たちの企業の存続のために始めた取り組みですが、変わらないのは地域の方々のより良い暮らしに貢献したい、という思い。少しずつではありますが、飯塚にもドローンを通じて新しい可能性が生まれたらという気持ちで、昨年はコロナで様々なイベントが中止になった地元中学校で卒業にあたって撮影会を行いました。

https://www.nishinippon.co.jp/item/n/662013/(西日本新聞)

このnoteも私たちにとっては、新しい挑戦。今後は、ドローンの展開を通じた取り組みについて、そして3年前、55歳にしてはじめてドローンを触り、操縦パイロットになって、現在は様々な機関と連携しながら事業展開を行うメンバーのお話などを紹介していけたらと思っています。もしよろしければ、note、Twitterもはじめましたのでフォローくださいませ!今後も、よろしくお願いします。

https://twitter.com/etosekiyu


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