小説「残像に口紅を」筒井康隆

読了。
これは職場の年下の女の子に貰った小説。
帯には「TikTokで超話題!」と書かれていたけれど
私は恥ずかしながら初めて聞いた小説だった。
筒井康隆さんの作品も初めて読むので楽しみだった。

「あ」が使えなくなると、
「愛」も「あなた」も消えてしまった。
世界からひとつ、またひとつと、ことばが消えてゆく。
愛するものを失うことは、とても哀しい…。

あらすじ引用

この小説のなかから
ひとつずつことば(ひらがなでひとつずつ)消えていく。
その中で主人公の思考、生活が描写されるのだけど
一度消えたことばは使用されることはない。
不自由になっていく中で描写は続く。
まず私はその表現力、語彙力に圧倒された。
数個のことばの欠落など
ハンディキャップにも思えぬほど自由に描写されていた。

そして面白かったのは
この主人公は明らかに私たち「読者」を
認識していて、メタ的表現が採用されていたこと。

ただ、どんどんことばを失うにつれ
やはりやや読みにくい部分もあった。
どこか研究論文のような、
きちんと言葉を読み解かないといけない部分もあり
進まないシーンもしばしば。

最終章に差し掛かると
ページをめくる手が止まらなかった。
ハラハラ

筒井さんを検索すると
関連に星新一さんが出てくることで
とても納得したものがある。
(私は星新一さんの本が大好き)
SFチックで、どこか不気味でユニーク。
面白かった。

ただ、帯に「最高に切ない恋愛小説」と書かれいたのは
よくわからなかった。

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