WIPOのレポートより、医薬品特許プール(MPP)による新しい調査結果ついて
先日WIPOのメルマガより、興味深いレポートがあったのと、ちょうど今日、今勉強をしている資料にもMPPが出てきたので、今回は医薬品特許プール(MPP)について、簡単に紹介をさせていただきたいと思います。
まず、医薬品特許プール（Medicines Patent Pool、略してMPP)とは、低・中所得国向けに命を救う医薬品へのアクセスを増やし、その開発を促進することを目的とした、国連支援の公衆衛生組織となります。
そのMPPのついて、WIPOより、MPPによる新しい調査では、非伝染性疾患に取り組むための自発的ライセンス供与(VL, Voluntary Licensing)の利点が明らかになったとのレポートが発表されており、今回もChatGPTの助けを借りながら、ここに簡単にその概要を紹介させていただきます。
医薬品特許プール（MPP）が委託した新しい研究は、自発的ライセンス供与が商業的に成り立ちながら、どのようにしてグローバルヘルスを進展させるかを、明らかにしています。
ボストン・コンサルティング・グループ（BCG）が実施し、世界知的所有権機関（WIPO）とカナダ政府が共同出資したこの研究は、特に低・中所得国（LMICs）における世界的な健康格差に対処するための効果的で商業的に魅力的なメカニズムとして、自発的ライセンス供与が有効であるという証拠を提示しています。
この研究では、質的および量的な分析を用いて、自発的ライセンス供与が複数の地域にわたって医療製品へのアクセスを促進しながら、バイオ製薬会社に経済的利益をもたらすことを示しています。
この研究は、2024年5月29日にWIPOで行われた会議で議論されました。パネリストたちは、患者へのリーチ拡大、新たな患者層へのアクセス、バイオ製薬会社の収益成長の可能性を含む、自発的ライセンス供与）の利点を検討しました。
＊主な研究結果:
非感染性疾患（NCD）における自発的ライセンス供与の機会：
HIVやCOVID-19などの感染症に対する従来の焦点を超えて、自発的ライセンス供与を拡大することで、世界の死亡の74%を占める非感染性疾患（NCD）に対する大きな機会が生まれます。これらの疾患には、糖尿病、がん、心血管および呼吸器疾患が含まれます。
製薬会社への商業的利益：
報告によれば、非感染性疾患の薬剤に自発的ライセンス供与を拡大することは、患者へのリーチを拡大するだけでなく、中上位所得国（UMIC）のオリジネーターの収益を2%から17%増加させる可能性があります。
患者のリーチとアクセスの向上：
分析によると、調査対象市場では、オリジネーター製品に比べて、ノンオリジネーター製品が約4倍の患者に届いており、ライセンス供与が患者の多様性やライセンス供与された製品に関する実世界のエビデンス（RWE）のデータ収集に与える影響を強調しています。
労働力への利益：
自発的ライセンス供与などの健康の公平性戦略を実施することで、従業員の離職率を1%減少させ、製薬会社の規模とサイズに応じて700万米ドルから5000万米ドルの大幅なコスト削減が見込まれます。
SLBを通じた財政的インセンティブ：
研究は、自発的ライセンス供与契約で使用されるサステナブルライセンスボンド（SLB）が低金利を提供し、製薬会社の借入コストを削減することを示しています。
MPPのライセンスモデルの効率性：
MPPのライセンス契約管理アプローチは、オリジネーターと受益者の双方による高レベルの信頼、パートナーシップ、投資を必要とし、無許可販売や製品の転用を防止し、異なる国々での年間収益損失を数百万ドル節約する可能性があることが示されています。
＊WIPOで行われた会議での議論
2024年5月29日にWIPOで行われた会議では、戦略的な方法で自発的ライセンス供与（VL）を実施することの重要性が議論されました。
例えば、年間収益の損失は、低中所得国（LMIC）では200万米ドルから中上位所得国（UMIC）では800万米ドルと推定されており、製品多様化に伴う収益損失を回避するのに役立つ可能性があります。
議論では、VLが健康の公平性に貢献する可能性も強調されました。
また、VLが市場の動態に影響を与え、インフラ、製造、サプライチェーン、ヘルスケアエコシステムの適応性を含む、開発途上国の能力を形成する力も指摘されました。LMICにおける医薬品アクセスの複雑さ、特に市場参入における規制の複雑さも認識されました。
しかし、これらの課題にもかかわらず、VLはLMICにおける医薬品アクセスを確保するための全体的な解決策の重要な要素として適切であるという意見が交わされました。
＊参考サイト：
New Study by Medicines Patent Pool Highlights Benefits of Voluntary Licensing to Tackle Non-Communicable Diseases
Voluntary Licensing: Right for Health, Smart for Business - Report - MPP
＊エトワール国際知的財産事務所
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