【LGBTQ】SDGs、言及なきLGBTQ。G7、広島サミット共同声明に、性的少数者の権利保護を明記へ。

2023年5月16日、自民党・公明党(与党)は、与党政策責任者会議を開き、LGBTQなど性的少数者への理解増進を目的とする議員立法「LGBT理解増進法案」の修正案を正式に了承した。
両党は、野党側に修正案への理解を求めたうえで、今週中の国会提出を目指す方針だ。

5月19日からはG7広島サミット、自民党は国会提出に向け、意見まとめる

G7広島サミット(主要国首脳会議)が5月19日(金)から開催される。修正案については、18日にも国会提出する見通しだ。

自民党はLGBT法案について、広島サミットに焦点を合わせる形で調整を進めてきた。
5月12日、自民党は性的マイノリティに関する特命委員会と内閣第1部会の合同会議を開き、LGBT法案について、部会長らに対応を一任した。合同会議では計28人が発言をして、内15人は明確に反対を訴えたが、推進派幹部が強引に一任を取り付けたという。こうした党内手続きについては、不満の声も挙がっているが、16日の自民総務会では、オブザーバーとして保守派も出席して、全会一致で了承された。

こうして、与党は修正案合意に至る。

G7、広島サミット共同声明に、性的少数者の権利保護を明記へ

これまで自民党は、保守派に配慮する形で、LGBT法案の取りまとめに至らなかった。党内に不満の声を残しながらも、国会提出を急ぐ理由はG7の動きにある。

G7は広島サミットの共同声明に、性的少数者の権利保護などを明記する方向で調整していると、複数の関係者が12日、明らかにした。
4月に開かれたG7外相会合でも同様の動きがある。共同声明には、LGBTQの「権利の促進と保護に関するG7の継続的な世界的リーダーシップを再確認する」と明記された。

G7が方針を固めた中、日本はG7で唯一、同性婚を法的に認めておらず、LGBT差別禁止法がない。LGBTQ関連法の整備について、議長国としても一定の成果は求められるところだろう。

「2030アジェンダ」持続可能な開発目標(SDGs)、言及なきLGBTQ

2015年9月に国連持続可能な開発サミットが開催され、その成果文書として採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」。その中で掲げられているSDGs(持続可能な開発目標)は、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標である。

G7広島サミットでは、このSDGsに向けての取り組みも重要課題として議論される。ただ、SDGsでは、ジェンダー平等を掲げているが、LGBTQについての言及がない。
(参考:国際連合広報センターHP「2030アジェンダ」「持続可能な開発目標」「ジェンダー平等を実現しよう」、国連HP「持続可能な開発目標レポート2022」

G7がサミットの共同声明に、LGBTを含む性的少数者の権利を保護し、人権状況改善に取り組むG7の決意を明記することは、人権問題についての世界的な指針を示すことになる。

LGBT理解増進法、目指す未来を決める

LGBT法案について、議論の焦点となっているのは「差別は許されない」などの文言についてだ。修正案では、「性自認」の文言を「性同一性」に、「差別は許されない」を「不当な差別はあってはならない」に置き換えられている。

法案が成立すれば、その内容がLGBTQ理解についての国内の指針になる。
修正案について、野党からは合意案に戻すべきだとの声も挙がっている。
超党派の議員連盟で会長を務める自民党の岩屋元防衛大臣は、「前に進めないといけないという思いは共有できている」、「この国会では成立をさせなければいけない」と語っている。

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