飛び込めなかった話
地元の駅前に、ずっと気になっている喫茶店があります。
ビルの2階、看板も色あせていて、窓には往年の女優のポスターがどーーん。
レースのカーテンと窓際のイスの背もたれから察するに、内装の雰囲気は決して悪くなさそうな予感。
でも、いつもなのです。
いつも歩道から見上げると、イスの背もたれがずらっとならんでいるのがわかるのです。
つまり窓際の席に誰も座っていないか、もともと窓側にインテリア用のイス風の飾り(?)が置いてあるかのどちらかなのです。
田舎駅ゆえ、食べログも「レビューゼロ」と堂々の空振り。
数年前に更新されていたと思しき個人ブログの感想には写真はなし、「居心地は良いです」とのこと。
「これ……行ってみたらいろんな意味で絶対おいしいはず……」
と小心者の背中に今日こそ鞭を打つぜ!と勇んで足を進めたものの。
店の前に書いてあるメニューを読み、
イメージをふくらめ、いざ!と階段を上ろうとしたとき、見えてしまったのです。
朝から雨天のはずの本日に、ドアの前に置かれた傘立てががらんとしているのを。
…………すごすごと帰路についたわけでございます……。
自分を変えるのは行動だぜ!
と巷にあふれる自己啓発の本でも目にする文章ではありますが、わたしはひとりでもはじめてで誰もいないかもしれない喫茶店に行く勇気がほしいです……。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?