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たかが蛍光灯というなかれ。小さな「できた」が私を変える。

富士山も笑っているが、私の腕も腿も笑ってしまった話。

地上4階の外廊下の天井の、重さ5キロ以上もある円形の蛍光灯の蓋を外したことがありますか。しかも脚立に乗って、高所恐怖症と戦いながら、真冬の北風の中、それを、凍えた手で落とさないようにするのは、むちゃくちゃきついです。

申し遅れましたが、私は4階建ての親が所有するマンションの1室に住んでいる次男坊であります。
親が所有しているとは言え、年に数回玉切れを起こす蛍光灯の交換作業は私の役目にやっております。

作業が3階ならまだしも4階となるとかなり高くて、さらに脚立に登るとますます高くなり視線の片隅に隣の家の屋根と遙か下にある地上の道が見えるのです。

とても恐怖に駆られます。
恐怖に駆られながらも、その蓋を落としたら100%の確率で割れるガラス素材なので、作ったやつ&設置したやつを呪いながら毎回交換するのです。

終わった時は二の腕と太ももが完全にへなへなと笑っているのです。今日は2ついっぺんに交換したので完全にへなへなです。今日は他の仕事はできないかもしれないと思った。

2日目。
昨日のリベンジとなってしまった。

昨日の蛍光灯の交換には不備があったようで、夜になっても灯りがつきませんでした。
ガーンッ。

もしかして蛍光灯に差し込むソケットが浅かったのかもしれない、すぐにそれを思いついた。
作業が、脚立に乗ってさらに高所のため,手に力が入らずソケットの差し込みが疎かになっている感じがしながらも、蓋をして,「よし」としてしまったのだ。
その結果がこれだ。

仕方なく、今朝またやり直しました。
しかしである、交換すべき蛍光灯は二つ。
まず最初の一つ目の蓋を開けた。
案の定、ソケットの差し込みが浅かった。あと5ミリは奥に押し込まないといけなかった。
ブスッ。
これでよし。

そして、二つ目の蛍光灯の蓋をあけた。
なんと、しっかり差し込まれていた!
えっ!なんで?

瞬時に、「あっそっか、点灯管だっ」と気づく。

最新の蛍光灯にはないものも多いらしいが、なんせ築20年のマンションだ。設備はその当時のものだ。
蛍光灯のほかに,灯りをつける時のスターターの役目をする点灯管が付いているのでした。これを蛍光灯を交換した時、同時に交換しておかないと大体灯りはつかないのを忘れてました。

これだ。
ぁあーめんどくせ〜
これも交換しないとダメなんだった。

仕方なく、そのまま,近所のスーパーに直行。
手ぶらであることを忘れていたから、財布もクレジットカードもない。
と,スーパーの入口で気づいた。

あっ、スマホがあった、とズーンズのポケットを触って気づき、
その中に、もしものときの、PayPayアプリがあることを、思い出した。

滅多に使わないPayPayに、この時ばかりは感謝した。

そしてまた、作業場へ。

ちなみに、この交換作業は兄との共同作業です。
そうでもしないと、4階の外廊下で脚立に乗って思いっきり手も足も伸ばしての作業など,怖くてできない。

さらに、この蛍光灯の蓋が鬼のように重い。
もしここで手を滑らせて、地上に落ちていき,そこに人間の頭があれば間違いなく即死だ。

しかも、やってみてわかったのだが、昨日は、蓋が止めてあるネジを外しても外れなかった。蓋の外周部分が天井の素材にピッタリくっついていた。だから、ネジを外してから、そのくっついている部分をマイナスドライバーを差し込んでこじ開けたのでした。

こじ開けつつ、その部分を右手で掴み、左手で蓋を支え持ちながら、そーっとそーっと降ろしてきて、下にいる兄に渡すのです。
これ,めっちゃ怖い。

しかし、昨日一度開けてしまった蓋が,今日はネジを外すだけで、下にズルっと落ちてくる。ネジは中央に付いていて、右手でネジを回していくと、右手はネジをつかんでいるため、蓋をつかむことができなくなる。支え持つのが左手だけになってしまう。普通のお皿ぐらいの重さならそれでもいい。しかし重さが違う。間違いなく5キロ以上はある。

不安定な脚立の上で、この重たいガラス製の蓋を片手で受け止めるのは,あまりにも危険すぎる。

ここで助け舟をお願いした。
私が直径8センチぐらいの蓋の両サイドをガッチリ持つ。そしてネジの取り外しを兄にお願いしたのです。

ずっと怖がって脚立にあがる作業を回避してきた兄だが、流石に弟の苦境を見るにみかねてか、手助けをしてくれた。
二人三脚で蓋を外すことに成功。

そして、小さな点灯管の交換取り付けを終えた。

昨日の作業のきつさを考慮して,今日は昨日より高い脚立を使用した。
これで作業は随分楽になった。
今までなんで使わなかったのか、謎である。

事故も怪我もなく無事に終了。
あとは夜になって,灯りがつけば、万々歳です。

今日の学び。
全てが完璧でないことをあらかじめ覚悟しておこう!
そして、不備が発生したら、サッカー日本代表の選手のインタビューのように「課題が見つかったので,修正していきます」と答えて、前向きに取り組んでいこう。

頼む、点いてくれ!

そして,数時間後。

陽が落ちて、いつもの様に夕食を実家のある4階まで運んできて、天井に煌々と灯る蛍光灯を見て、「よっしゃ」と胸の内でガッツポーズをとっていました。

今まで何度もやってきたことですが、今回の蛍光灯交換ほど、大変だと感じたことはありません。
多分、冬の寒さが難易度を高めていたと思われます。

ここ数日、この蛍光灯の下を通るたびに、ぁあ早く取り替えなくちゃ〜と思いつつ、高所恐怖症の自分の中の悪魔が、よせよせ、まだまだ点滅してるだけだから大丈夫だよ。そもそも、なんで俺がやんなきゃならないんだよ、兄貴の仕事だろ〜、と見て見ぬ振りをし続けました。
でも、結局は我慢しきれずこちらから言い出して作業を始めることになりました。

なにはともあれ、終わってよかった。ずっと頭のどこかに引っ掛かっていて、何をしていても、なんか気持ちがモヤモヤして気になっていました。それが終わってスッキリしました。そして、なんだかこれまでの作業で、一番報われたような気がして、密かな達成感さえあります。

たかが蛍光灯というなかれ(笑)

小さな「できた」でも、けっこう嬉しい。

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