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子どもの未来に向けたコレクティブインパクトの実践、ユースセンター起業塾、他「ETIC.ソーシャルイノベーションセンターNEWS」2021年11月9日号

はじめまして、佐藤淳です。
2018年から「子どもの未来のための協働促進助成事業※」の担当としてETIC.に参画しています。ETIC.の他にも、LGBTQ+ユース等の支援団体に所属しています。

「子どもの未来のための協働促進助成事業※」では、地域で、子どもや家庭を支援する組織間で連携・協働し、子ども支援のネットワーク(生態系)をつくること目的に、そのモデルとなりうる6つの団体を採択し、支援しています。支援は3年間で、総額2億2600万円の資金的支援と、ETIC.と連携先のかものはしプロジェクトのコーディネーターによる伴走支援をしています。

助成事業について詳細はこちら(ETIC.は、2019年度休眠預金等活用法に基づいた資金分配団体です)

事業の開始から1年半が経ち、NPO・行政・企業等と連携した取り組みが生まれ、地域内の協働推進の核となるチームもでき始めています。
今日は、これまでの支援を通した気づきを紹介します。

セクターを超えた協働による相乗効果を通して、地域の集合的な変化が促される

支援先の1つのNPO法人岡山NPOセンターでは、自然治癒力の高い地域を目指して、さまざまな専門性を持つ民間団体間の協働による子ども支援の体制づくりや、共通して活用できる支援ツールの開発をしたり、各団体が持続的な活動をするための基金立上げなど、いくつもの取り組みを行っています。

岡山には子どもの支援を長年実施している民間団体が多く、各団体が、専門性を生かして多様な事業を行ってきた実績があります。これらの民間団体が相互連携するからこそ、様々な地区・背景の子どもや家庭にアウトリーチによる支援をすることができます。
岡山NPOセンターは、長年NPOの運営サポートや行政との協働も行っている中で、子どもの支援をおこなう団体と関係性があり、地域内外の企業とのつながりも多く、市民参画の機会づくりも行ってきました。また、姉妹組織でみんなの公共冷蔵庫「北長瀬コミュニティフリッジ」という食料品・日用品の支援を必要とされる方が24時間取りに行ける場所の運営をしています。

11月6日には、子ども支援のための基金「KOTOMO基金」立上げ後、初めての報告会があり、私も現地で参加してきました。
基金の分配先になっている各団体が、基金によってこれまでできなかったアウトリーチが実施できたり、サポートしていたお子さんを別団体の就労移行支援につなげるなど連携が生まれていること、何より団体同士が仲良く、子どものためにともに進もうとしている様子が印象的でした。

また、基金は2021年5月設立後、すでに30社以上から協賛を受けています。基金が地域の触媒となり、子ども支援に関わる団体・行政が協働・主導するだけでなく、市民を含めた様々な主体が自分事として関わる流れができました。子ども支援が「支援団体が対応すること」から、「地域ごと」になる、大きなうねりと変容がうまれはじめています。

これらの集合的な変化の結果として、地域全体でサポートできる子どもが増え、自然治癒力の高い地域が実現すると感じました。

(参考)岡山NPOセンターへのインタビュー記事「まちづくりや子ども支援の分野から拓く横断型子ども福祉のコレクティブインパクト。~自然治癒力の高い地域を目指して~」

いち組織のリーダーから、システムのリーダーになる

岡山の事例のように、NPO・行政・企業・市民等との協働を通した集合的な変容を起こしていくためには、いち組織のリーダーとは異なる、システムのリーダーとして、子どもや家族を取り巻く、多層的な生態系(エコシステム)の醸成を進めることが大事だと考えています。

システムのリーダーとは、目の前の課題の解決だけではなく、大局的な見地に立ち、内省と生成的な対話を様々な個人・団体と行う中で、全体を俯瞰しながら構造を見える化します。その上で、課題解決のレバレッジとなる、効果的な介入点を見つけ、必要な多くの個人・団体と未来を共創することを促すという役割を担うリーダーだといわれています。

これらの観点を持つ人が、組織・役職等に関係なくチームで動いていることが重要です。本事業ではこのチームへの伴走支援を主眼に置いています。

残り1年半の支援期間で、さらに子どもを中心とした生態系ができていくことに寄り添えることを、引き続き楽しみにしています。

なお、本事業支援先のインタビュー記事は以下に掲載しているので、ぜひご覧ください。
年度内に全団体の記事を掲載予定です。

(参考)「子どもの未来に向けたコレクティブインパクトの実践(DRIVEメディア)」

- INFORMATION -

◎カタリバ✕ETIC.の新しい取り組み
10代に伴走する「人」と「居場所」をつくる人を応援する
「ユースセンター起業塾」がはじまります!

どんな環境に⽣まれ育った10代も、未来を⾃らつくりだす意欲と創造性を育むことができる社会を⽬指し活動するNPOカタリバと、変革の現場に挑む機会を通して、起業家精神が溢れる人材を育んできたETICが、地方の子どもたちの可能性を伸ばせる居場所を増やすための、起業家育成プログラム「ユースセンター起業塾」をはじめます。

◎「ユースセンター起業塾」webページはこちら

ユースセンター起業塾では10代の学びの機会や居場所を提供する事業づくりに対して、3年間の助成と伴走支援・経営支援を受けられる「事業創造コース」と、起業・事業づくりを目指す方が、まずはカタリバの現場で働きながら起業準備を進めていく「研修生コース」があります。

このプログラムにご関心がある方/団体を対象に、オンライン説明会も開催いたします。ぜひご参加ください。

◆日程:
(1)11/25(木)16:00-17:00@オンライン
(2)12/4(土)10:30-11:30@オンライン
 ※いずれも同じ内容となります

・開催方法:Zoomウェビナー
・プログラム:事業趣旨・公募要領に関する説明、質疑応答

◆お申込み:こちらの専用フォームからお申込みください

※申し込み〆切は各日、前日の12:00までです。
※日程が合わない場合は、アーカイブ視聴のお申し込みが可能です。
※「事業創造コース」は、カタリバとエティックが休眠預金等活用事業からの資金提供のもと運営する事業です。

◎11月11日(木)12日(金)開催
LGBTQ+と職場を考えるカンファレンス「work with Pride」
「Equity」と「Well-being」がテーマ。

職場におけるLGBTQ等の性的マイノリティ(以下、LGBTQ)の働きやすさを考えるカンファレンス『work with Pride 2021』が11月11日(木)と11月12日(金)の2日間、オンラインで開催されます。

スケジュール1日目の11日(木)には「レインボー認定から考えるLGBTQ+と
コレクティブ・インパクト」というテーマでパネルディスカッションあり。
ETIC.の番野も登壇致します。ご関心ある方は、チェックしてみてください。

◆開催日:
1日目/2021年11月11日(木)13:00〜15:00
2日目/2021年11月12日(金)13:00〜15:00

◆テーマ:
「職場にとってのレガシーとは ~Equity と Well-being とは何か~」

◆開催方法:YouTubeでのオンライン・ライブ配信
 work with Pride 公式YouTubeチャンネル
 ※事前のチャンネル登録をおススメします

◆参加対象・参加費:
どなたでも、無料で、ご参加いただけます。

◆主催:work with Pride 2021 実行委員会
 (事務局:特定非営利活動法人グッド・エイジング・エールズ)

◆イベント詳細はwork with Pride のウェブサイトをご覧ください


Editor's Note - 編集後記 -


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本木裕子です。佐藤さんのコラムでご紹介した「子どもの未来のための協働促進助成事業」では、これまでETICが行ってきた個別の団体支援や協働支援ではなく「コレクティブ・インパクト」の伴走支援にチャレンジしています。「コレクティブ・インパクト」の支援はわたしたちも初めてのことで、常に学びながら、工夫しながら、試行錯誤をしています。
個別の団体支援との違いで感じるのは、システムに影響を及ぼす支援の難しさです。多様なステークホルダーが関わり合うところから始まるコレクティブインパクトは、実践に7~10年かかるとも言われています。それだけ動かすのが簡単ではないシステムに対してどんなアプローチがいいのか、限られたリソースであの手この手をひねり出す、各団体の実行力に驚かされます。また個別の団体支援が、コレクティブインパクトの支援につながっていることも、目に見えてきました。採択団体それぞれが地域を支えるシステムの一員であり、その組織の成長や変化がシステムにも影響し、それを変えていく、そんな未来を感じます。まだまだ道半ばです。この長旅の続きはまた。

発行元:
NPO法人ETIC.ソーシャルイノベーション事業部
incu@etic.or.jp

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