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孤独は、必ずある。同じように戦う仲間と出会える起業塾(2023年6月6日号)

こんにちは、ETIC.の町田です。
ここ最近、扇風機をまわしてアイスをたべるしあわせを嚙みしめています。
先月からコーディネーターとして、社会起業塾イニシアティブ(※以下、社会起業塾)という、社会起業家の創業支援プログラムを担当することになりました。

これがとても熱いプログラムなのですが、その特徴の一つが、メンターとよばれる先輩経営者や起業家によるメンタリングです。メンターは、参加者自身や事業の進化のために、実践的なアドバイスをして応援してくれます。

今回は、昨年起業塾のメンターを担当してくださった大西さんと、コーディネーター田村のインタビューに同席し、その想いをお聞きしました。


●お話を聞いた人
NPO法人自立生活サポートセンター・もやい 理事長 大西連さん

左上:大西連さん、右上:田村(インタビュアー)、下:町田

これからを担う起業家の力になりたい

――大西さんは、なぜ起業塾のメンターを引き受けてくださったのですか。

大西:お声がけいただいたとき、最初は意外だなと思ったんです。
僕は社会起業家っていうカテゴリーよりも、どちらかというと市民活動家として位置づけられることが多かったので。ただ、プログラムとして多様な視点を取り入れたいのかな、それも大切なことかなと思ってお受けしました。

また、NPOとかソーシャルセクター全体として、いろんな社会課題が世の中にはあるけれど、担い手や新しい団体もそんなに増えていないんじゃないかという危機感がありました。
まさにこれからを担うような起業家や団体が育っていってほしい、何か伝えられることや力になれることがあればやってみたいと思って引き受けました。


――昨年度、初めてメンターとしてご依頼しましたが、いかがでしたか。
大西:いや、難しかったですよ。塾生のみなさんに、どこまでいうべきか、どこまで伝えたほうがいいのか、直接よりも間接的に伝えてご自身で考えてもらったほうがいいのか。
また、励ましたり、その分野により詳しい方を紹介して、現場に行ける機会をつくったり。
ロールモデルがあったわけではないので、悩みながら、手探りでやりました。分野がちがうと、逆に勉強したものもありましたね。本人の個性や想いを削らないかたちでのサポートを大切にしました。

純粋に相手をリスペクトして、伝える。
失敗から学べるチャンスも奪わない


――私もそばで見させていただいて、大西さんのメンタリングって、いい意味でフラットだなと感じています。相手をよく見て関わってくださっていたのが印象的でした。

大西:ありがとうございます。これまで、いろんな団体や先輩方や他業界のリーダーとも関わる中で、正直、いやだなとか違和感を感じたこともたくさんありました。
活動、パーソナリティ、想いは、みんな違うんですよ。それは違いであって、どちらがいいとかではない。それらを否定したり比べあうコミュニケーションはすごく居心地がわるいなと感じてきました。
自分自身もキャリアをつんで、人に経験を伝えたり機会を提供したりする立場になることも増えてきました。だからこそ、フラットさを意識して、純粋に相手をリスペクトした上で伝える姿勢は大切にしています

基本は、相手を尊重するところからはじまるんです。
フラットな姿勢はいい面もあるけれど、悪く言えばさらりとしていると思っていて。
起業家の皆さんの活動はリスペクトしていて、応援して、仲間だと思っています。けれど、家族や師弟関係的なものにはならない。そこにさみしさを感じるひとはいるかもしれないですよね。
でも気を付けないと、親しみも暴力になると思うんです。関わり方を考えながら、相手との対等さを大事にしたいですね。参加される起業家のみなさんも、大なり小なり、一国一城の主だから。同格、仲間だと思っています。
僕はスタッフから「ホームレスの方にも岸田総理にも、同じようにお話して接していますね」と言われたことがありました。僕自身対等さは大切にしているので嬉しかったです。
ただ弊害もあって、たまに怒られることもあります(笑)

起業塾のメンターをしている中で、自分自身の経験や知識の積み重ねから「この方法で進めてもうまくいかないんじゃないか」と思うこともありました。でも、伝えるべきなのかは迷いましたね。
伝えてしまうことによって、失敗から学べるチャンスを奪ってしまうことになる。
そして失敗するかどうかも、やってみないとわからないし、僕はその方法で失敗したかもしれないけれども、時代も環境も違うし、その人が失敗するとは限らない。必ずしも一概にはいえないですよね。
だからこそメンタリングの際、主語は「I」メッセージで話すようにしていました。あなたはこうしなさいじゃなくて、どう受け取るかはあなたの自由だけれど、僕は情報としてこういうのを伝えられるよという姿勢です。
怖いんですよね。自分のひと言で傷つけちゃったりとか。僕の考え以上の可能性が絶対あるし、可能性をせばめちゃう怖さもあるから、一人ひとりをリスペクトする姿勢は大切にしていました。

孤独は、必ずある。
同じように戦う仲間と出会える起業塾

――社会起業塾にメンターとして参加して、「創業期の起業家にとって、こういうところがいいな」と思ったところはありますか。

横のつながりができるのがいいですよね。一生懸命現場で活動をする中で、うまくいったりいかなかったり、ジェットコースターのようなところがあって、マイナスな経験をすることも多いと思います。そのなかで、横のつながりがあるのはとても大事なこと。
孤独は、必ずあると思う。でも、同じように戦っている仲間がいると安心しますよね。それは、横だけではなくナナメの関係も同じ。先輩社会起業家と繋がれることもそうだと思います。社会起業家自体が、金銭面、社会的評価も含め、一般社会から評価されているとはまだまだ言えなくて。だから、心の支えになると思います。

――創業期の社会起業家へ、応援メッセージをお願いします。

事業を立ち上げようと思う時点で、すごいことだと思います。
人生の時間の中で、社会課題について自分のエネルギーを1ミリでも使おうとすること自体に、深く尊敬しています。イバラの道だとおもうんですよね。サービスを作っても、対価がないと大変だし。誰もやってないことは、そもそもやるのが大変だから、みんなが手をつけられていないということなので、事業として成立しないこともある。

だからこそ、自分たちだけで考えるのではなく、ぜひ周りを巻き込んでスケールを広げてほしいです。続けることは簡単じゃないけれど、社会のニーズに対して最適化して、ぜひ粘り強く取り組んでほしいと思います。

Editor's Note - 編集後記 -

こんにちは!今回インタビューをさせてもらった、ETIC.田村です。
私はかなり緊張するタイプなのですが、そんな中でも、同じ場所に立って関わってくださる大西さんに救われたことを思い出しながら、インタビューをしていました。

こんなにまっすぐに起業家に向き合うメンターがいる社会起業塾ですが、只今2023年度のエントリー受付中です!
みなさん自身はもちろん、みなさんの周りで、事業を立ち上げたばかりの社会起業家の方がいましたら、ぜひおすすめしてもらえると嬉しいです!

◎お便りはこちらから


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