社会起業家の支援を続ける中で感じる、​ソーシャルセクターの変化の兆し

ETIC. Letter 2023年2月22日号の内容を一部加筆修正して転載したものです。


こんにちは、ソーシャルイノベーション事業部の番野智行です。

私たちのチームの出発点は、創業期の社会起業家の支援です。2002年にNECとの協働で始まった社会起業塾イニシアティブはこれまで140名の卒塾生を輩出、現在21期生がラストスパート中です。ゼロから挑戦するリーダーを応援することは、やりがいの大きな仕事です。

しかし、ソーシャルセクターの発展とともに、私たちの仕事の領域は広がっています。今日はこの場を借りてチームの近況を共有させてください。


大切なチャレンジに対するお金の流れをつくる

寄付や社会的投資が広がり、休眠預金の活用も進む中で、助成事業の企画・運営を担うことが増えてきました。

新型コロナウイルスの感染拡大直後の2020年4月には、MIXI創業者の笠原健治氏の10億円の寄付を原資とした「みてね基金」を株式会社MIXIと協働で立ち上げました。​​​​​​未曾有の事態の中での第1期は、4月中旬に公募を開始し、6月上旬に53団体への助成を決定するという急ピッチでの立ち上げとなりました。その後は、革新的な事業に対する最大1億円のイノベーション助成と、組織基盤強化のための最大1,000万円のステップアップ助成の2部門で助成活動を継続しています。

休眠預金の活用にも取り組んでいます。2020年からの3年間、NPO法人かものはしプロジェクトとの協働で「子どもの未来のための協働促進助成事業」を実施。子どもの支援に複数の主体で取り組む(コレクティブ・インパクト)6つの取り組みを支援しました。また、2022年には、NPO法人カタリバとともに「ユースセンター起業塾」を立ち上げ、10代の若者の意欲と創造性を育む団体を支援しています。

どの取り組みでも共通して大切にしていることがあります。それは「他の助成金ではカバーされづらいが、社会にとって大事なチャレンジ」に資金提供することです。多くの競争型の公募助成金の審査では、期間内に確実にインパクトが出る事業が有利になります。それはある面では合理的なのですが、新たなチャレンジや担い手が育ちづらいのです。

…と、偉そうなことを書きましたが、この数年間の取り組みから、自分たちにまだまだ進化の余地があることを痛感しています。そして、本当に多くのことを学びました。


リーダーシップの総量とつながりを増やす

近年のもう一つの新しい取り組み領域が、起業家以外も含めた人材育成です。一定の規模に成長した団体から、「団体の次の成長を牽引するリーダーの育成を手伝ってほしい」という声を聞くことが増えました。

情熱と実務能力を兼ね備えた人材が採用できても、複雑な社会課題に向き合い、制約の中で価値を創造していくことは一筋縄ではいかないようです。とはいえ、自団体だけで研修を企画するだけのお金と時間の余裕がなかなか無いのも現実。

加えて、似た立場にある他団体のスタッフとのつながりを作りたいというニーズも良く聞きます。確かに、日本のソーシャルセクターにおいて、代表クラス以外のマネジメント層の交流機会は意外に少ないのが事実です。

こうした声を受けて、参加対象をマネジメント層まで広げた研修や勉強会を増やしています。起業家のチャレンジは引き続き応援しますが、セクターのリーダーシップの総量を高めていくこと、つながりをつくることも私たちだからできる大事な仕事だと感じています。


対話・情報交換、歓迎します!

今回ご紹介した取り組みの全てが、決してETIC.だけの力では実現しないものです。そして、多くの人たちと接点があるからこそ見えてくるニーズや、取り組みたいことはまだまだたくさんあります。今年はもっとオープンに情報発信や対話の機会をチームでも作っていきますので、ぜひご参加ください。声をかけて頂くのも歓迎です(問い合わせはこちら)。

最新の情報は私たちのチームのメルマガ(ソーシャルイノベーションセンターNEWS ※このメルマガ(ETIC. Letter)とは別です!)でお届けしていますので、関心のある方はぜひご登録ください。

求人は出していませんが、スタッフとして一緒に取り組んでくれる人も募集しています(採用担当宛にご連絡ください)。



今回も最後までお読みくださりありがとうございます。
次回もよろしくお願いします。




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