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人間関係の不全が引き起こす「遠回

この記事は2023/09/29に配信を行なったメルマガの転載です。


皆さん、こんにちは。
株式会社エスノグラファーの神谷俊です。

秋分の日を境に、すっかり秋らしくなりましたね。朝オフィスに向かう途中、空を見上げると秋を感じます。鱗雲や筋雲が広がっており、ひんやりとした空気が気持ち良いです。

また我家では、夏に採集したカブトムシたちが次々と最後の日を迎えています。1匹ずつ感謝の気持ちを込めて、幼稚園帰りに彼らの「故郷」に埋めに行っています。そんな日々を過ごしています。

さて、今回のコラムのテーマは「人間関係」です。


人間関係の不全が生み出す「遠回り」

この1週間、いくつかの企業と関わる中で「もっと社員同士が仲良かったら楽なのに」と感じる事案を何度か頂きました。一緒に仕事をする相手と関係構築できていないことで、かなり「遠回り」をしているケースですね。

制度を整えることや、効率的な業務プロセスを進めることも重要です。しかし、同僚と仲良くなることもやはり重要なのだなと改めて感じました。

例えば、ある企業では、社員が次のような問題に悩んでいました(以下の事例は共有の許可をいただいて記述しています)。

自分のチーム内で業務改善を進めるためのプランを持っているが、それをどこまで主体的に進めて良いのか分からない。勝手にやってしまうと、チーム内の同僚から何を言われるか分からない。このような悩みです。

彼はこの問題に対して、次のようなアクションを検討していました。

  1. まず、同僚が何を考えているか分からないので、それぞれの同僚と1on1で話し合い、自分の問題意識を共有し、意見を聞く。

  2. 同僚からの意見を踏まえてアプローチを検討し、上司に共有し、意見をもらう。

  3. 改善プランがブラッシュアップされた段階で、再度同僚に共有する。


どうしてそれほど用意周到に振舞うのか、不思議に思いました。また驚いたのは、彼が現在の部署に配属されてから1年以上が経過しているということです。チーム内の人数もそれほど多くなく、彼以外には7名の同僚しかいない。

同じチームのメンバーに自分の意見を伝えるだけ、です。定例会議で自分の意見を率直に伝えるなどすれば良いのにと思いました。

また、他の企業では中途入社の社員から、次のような事例を共有していただきました。

他部署の同期から自部署の問題点を指摘されたそうです。

しかし、その社員は指摘をされた領域を担当している同僚と関係性を築けていなかったため、同じチームでありながら、指摘を直接共有することはしませんでした。

反対に、指摘をくれた他部署の同期に「自分では伝えられないので、上司経由で指摘をもらえないか」と改めて依頼しました。

その結果、他部署の同期は「それほど大ごとにしたくない」「同期だから共有したのに」と指摘事項を引き戻し、なかったことにしてしまったそうです。


設計や構造の問題ではないのでは?

このようなケースに対して、さらに興味深かったのは、本人たちが「自分の役割や裁量、チーム内のルールが設計されていないこと」に問題があると考えていたことです。

振る舞いを細かく設計しなければ、協働することさえできないのであれば、もはやその集団は「チーム」とは言い難いかもしれません。互いに連携やシナジーを生み出せない「個人」の集まりが組織内に存在するのであれば、それこそが問題だと感じます。

業務課題やタスクに取り組むことは重要ですが、まずはメンバーとの友好関係を築くことが最優先だと感じます。仲の良い人、好きな人と一緒に働く。それに勝るものはありません。一緒に食事に行ったり、他愛もない話をしたり、お互いを深く理解した上で仕事に臨むことが良いのでしょう。

コロナ禍以降、このような自然な関わりに対して躊躇する雰囲気も感じます。
人間同士、基本的な関わりを大切にして仕事に取り組みたいですね。

今回は、以上です。

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