靴は4足

私が小学生時代に買ってもらった靴は、3足だったと思う。
6年間で3足なので、さぞ物持ちの良い子供だと思われてしまうかもしれない。

当然小学生男児の私は、田舎の小学生らしく、野原を駆け巡る生活を繰り返していたので、買ってもらった靴は、一瞬で壊れていた。
スーパーのカゴに入れられた1000円もしない靴が、小学生の戦闘力に耐えられる訳もなかった。

普通の家庭なら、穴が空けば新しい靴を買ってもらえていたと思うが、我が家にそんな余裕は無かった。

ジャムの入ってないコッペパンのように、パッカリ開ききった靴で、雨も雪も学校に通い続ける日々を送っていた。


そんな私も、ブランドの靴を履く機会が訪れた。
父が土木の仕事で港に行った時に捨てられた靴を持って帰ってきたことがあった。


どう見ても偽物のNIKEの靴だった。


でも、その靴が壊れた時が1番悲しかった。
少しだけ裕福になれた時間が終わった気がしたからだ。


どう見ても偽物だけど、私にとっては本物より価値のあった靴。
それが4足目の靴だった。














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