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想い出の端っこに引っかかった謎



僕は学生時代を横浜で過ごした。

なんて言うと
少しカッコ良さげであるが

あるのだよ 横浜にだって

田舎は!

さて
この季節になると思い出すことは
高校時代
毎年 仲間4人くらいで
鎌倉で年明けをしていたことだ。

大晦日の夜に北鎌倉に集合し
建長寺からスタート
除夜の鐘を聞きながら
徒歩で
鶴岡八幡宮
長蛇の列に散々並んでお参りをし
鎌倉大仏
長谷寺をまわって

由比ヶ浜へ

が お決まりのコースだった。

当時は小町通りあたりに
店先で熱燗を売っている店があり
たしか 紙コップ1杯500円だったと記憶しているが
それを飲みながら 屋台の粉もんを つまみに
ダラダラ歩いていた。
(まて高校生)
自慢にはならないが
おじさんは 昔から
老け顔であり
タバコ 酒 に関して
誰からも年齢確認をされた事がない人生である。
露店も無くなればコンビニで
ワンカップの日本酒を買った。
別に酒が飲みたかったわけでもなく
タバコの灰皿が欲しかった
のと
酷く寒かった が 主な理由である。
(おい高校生)

長谷寺に着く頃にはべろべろである。
ちなみに
おじさんが鎌倉で1番好きな場所は
いまも

長谷寺

である。
長い階段を登って振り返った時の
ぬけの景色の良さ
観音様の優しい顔立ち
心が洗われる気がした。
近年 紫陽花の季節には
紫陽花寺 と呼ばれるほどの
有名観光地になったようだけど
当時の知名度は
知る人ぞ知る な 穴場であった。

そこから程なくして
由比ヶ浜に着く。

当時の風景は こうだ。

浜の あちこちに 大きなたいまつが点在し
波打ち際は赤く照らされていた。
そこに参拝を終えた人達が
ひとり また ひとり と増えてゆき
気がつけば 浜は
老いも若きも男も女も
で 溢れんばかりであった。
波の音と たいまつの燃える音と
海岸線の渋滞から聞こえる
ユーロビートの重低音
それだけが支配する
薄明かりの世界だった。

さて
この場合 おそらくではあるのだが
ここに集まった人々の主目的は

初日の出

ではなかろうか?

僕らも 寒い寒いと言いながら
誰も帰ることなく
コンビニのツナマヨおにぎりをつまみに
ちびちびワンカップを飲みつつ
日の出を待った。

もちろん
年により 曇っていたり と条件は異なるが
毎年 同じ場所で 朝まで海を眺めた。

やがて 空は白み
明るく海を照らす
そして
後方の山から

すっかり登った 朝日が浜を照らす

……
ん?

浜で見る 初日の出とは
水平線がゆっくりと白くなり
少しづつまあるいお日様が
焦らしながら登ってくるんでね?

そう

由比ヶ浜から 日の出は
見れません!!

で なんとなく
それに気がついた人から
徐々に帰りはじめ
鎌倉駅に着く頃には
すっかり日は登り

なにをしてたんだろ……

とか思いながら
帰路に着く。

が しかし この失敗は 何年か繰り返され
毎年

なにをしてたんだろ……

と 帰るのである。

誰もそれについて
触れることなく。

さても不可解なのは
猿なみの知能の高校生一行
ではなく
毎年 浜を埋め尽くさんばかりに
集まった
大人達 である。

この現象が なんだったのか
そして 大人達の思惑がどこにあったのか
いまだ 計り知れずにいる。

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