最後の1日。

昨日、大好きだった患者さんが亡くなりました。

その1日前、久しぶりに受け持って、その時からいつもと違うってことがたくさんあった。

昨日は受け持ちではなかったけど、最後のお見送り行かせてもらって、何も言えなくて、ただ深々と頭を下げて見送ることしかできなかった。

わたしの前を通る患者さんを見て、実感がわかなくて、涙も出てこなくて、でも本当の最後のお別れの時、ああもう会えないのかって思うと、泣きそうになってしまった。

でも今は泣く場所じゃないし、周りの先輩たちも泣いてないし、冷静に冷静にって思ったの。

Drも来てて、いつもと変わらない表情だったのに、患者さんを乗せた車が出発した途端、声を殺しながら泣いていた。

いつもクールでちょっと怖いのに、号泣している姿を見ると、今何を思っているんだろうと考えた。


今までの経過や、家族の葛藤を知っているから、もっとこうしていればっていう後悔があったのかな。

救えなかった命を前に何を思ってるんだろう。

悲しさと悔しさがあるから、こんなに泣いてるんだろう。

Drに比べたら看護師が、いや、1年目のペーペーができることなんてたかが知れてる。

だからわたしが泣くのなんて間違ってる。


そう思ったら、急に涙が引っ込んでしまった。


患者さんのことを思って、こんなに泣ける医者は、きっといつだって患者さんに向き合ってきたんだろう。

泣いていいのは、そういう人だけだ。


家に帰って、今までのことを考えた。

昨日最後の1日。何かしてあげられたんじゃないか。


感染症が完治したら、やってあげたいことがたくさんあった。

隔離部屋にいるのは必要最低限ではないと。

医療者の身も守っていかないといけない。

だから、感染症が治ったら…


お風呂に入りたいと言っていた。

手や足だけでもお湯で温めてあげようと思ってた。


髪がボサボサねと笑っていた。

きれいにクシでとかしてあげればよかったね。


強がりなあなたは、どんなに苦しくても大丈夫と言っていた。

我慢しなくていいんだよって言ってあげればよかった。


そんなことを1つずつ話してたら、もっともっとしてあげればよかったことが多すぎて、旦那に話しながら泣いていた。


後悔することばかりだけど、

1つだけ思い出したよ。


入院してきた翌日、初めて受け持ったとき、

たくさん話を聞いて仲良くなった日に、


こんなに話を聞いてくれる看護師さんは初めて。

嬉しいわぁ。

ありがとう。


って言われたんだった。


亡くなる1日前、もう話せなくなった患者さんに、私はしきりに世間話をしたね。

もしかしたら、わたしの方が話を聞いてもらっていたかもしれない。

ありがとう。

ありがとう。

ありがとう。


また会えたときは、また話聞いてね。

わたしも聞くからさ。

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