寝付けぬ夜の肝試し
自分よりも何日も何ヶ月も、何年も長くドミトリーにいる先輩方は散々遊び散らかしてこの沖縄の地での時間を持て余しているらしく、ここ最近毎晩のように心霊スポットへと4、5人で車に乗りあって行くのがブームらしい。
出かけるのは決まって夜飯時で「一緒にどう?」と誘われるも「いやいいっすよ心霊系は苦手なんですよー…」と断っていた。「今日はどこ行くんですか?」「今日はあれ、貝塚っていうところ、近くの墓場行く」夕飯をガッつきながら車を出すリーダーを見送った。
目に見える世界だけで十分に肝試しなのに、なんでわざわざ心霊スポットに行くのか…暇だから。
自分も酒、weed、アシッドにハマっている時は確かに暇な時か、ストレスを発散させる為だった。
恐怖を感じたい時というのが全ての人にあり、それを簡易的な手段で達成したいのが人という変な生き物なのだ。その時はそれでいいが行動には妙な結果が必ず伴う。
23時頃にドミトリー前の喫煙所でタバコをふかしていると右の方から気配を感じたと思ったら、足音を立てずに喋りもせず5人が帰ってきた。ギョッとして「え、肝試しどうでした」と聞くと20代女の子が「いや、やばかったっす…」と口が重く詳しくは話さない。
40歳近くの巨漢のリーダー格もいつも笑顔なのに全然口を開かずどかっと自分の隣に腰掛けてタバコに火をつけて右足をやたらと触っている。もう一人の石垣出身の男の子も立ちながら足をやたらと気にしている。
あ、これはやらかしたやつだと思い「霊見えました?」と聞くとリーダーが「見たってもんじゃないよ、俺女の霊に足首掴まれたんだよ!貝塚で!それで足首が痛いんだ、こいつもだよ」石垣出身の男の子を指差してと怒ったように言ってきた。5人全員の目が死んでいる。
そのあとわっと堰を切ったように5人が5人それぞれの恐怖体験を話し始めたが同時に喋り続けるものだからおかしくて笑ってしまった、だが本当にそれぞれが声を聞いたり、霊を見たり、体を触られたりと散々だったらしい。全員がもう二度と行かないと何かに誓うように呟いていた…
そのあと霊の怖さについて自分が沢山喋って散々脅かしてとりあえずチベット語の心経を聞かせて落ち着かせて自分もなんだか怖くなって寝たが、5人はリビングで深夜遅くまでぼーっとしてとにかくお酒を飲んで寝たそうだ。正直心の中笑いが止まらなかったが、行っちゃダメなのだ肝試しなんて。
他の誰かが言ってたセリフだが「肝試ししたいんなら繁華街でも行ってヤクザモンに喧嘩売ってこいよ、よっぽど肝試しだぜ」ほんとほんと。
もし沖縄本島で確実に心霊体験をしたい人はご連絡ください。カウンセリング込みのツアー1日ツアー5万円で承ります、不定休ですのでまずはお問い合わせください。
「目に見えるもんが一番怖いんだから、わざわざ霊の邪魔はしちゃダメよ」
Music : Timber Timbre - Magic Arrow
Location : NAHA, OKINAWA
2019.8.11
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