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ラグビー審判英語リスニングに挑戦!

 This is not soccer.
 これはサッカーじゃないんだ

 第10回ラグビーワールドカップ(Rugby World Cup)が、2023年9月8日から10月28日までフランスで開催中です。迫力のある選手のプレイもさることながら、外国語を学ぶ皆さんの中には、レフリー(審判員)の英語リスニングを楽しんでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 10数年前から、ラグビーの国際試合ではレフリーにマイクが装着され、音声がテレビ等を通して視聴者に届けられるようになりました。自分よりも身体が一回りも、二回りも大きな選手を見上げながら、冷静かつ毅然とした態度で判定を説明するレフリーの姿が印象的です。

 一般的にスポーツ審判の仕事は、選手のプレーを判定し、ルールに反していれば罰を与えることです。他方、ラグビーのレフリーの役割はそれにとどまらず、選手と共に良いラグビーを創り上げていく役割があると言われています。

 ナイジェル・オーウェンズ(Nigel Owens)は、世界で一番有名なラグビーレフリーと言われています。Twitterのフォロワー数も43万人以上。試合中に発したある言葉が話題を呼び、関連のYouTube動画の再生回数は90万回を超え、そのフレーズが印刷されたTシャツが売られたこともありました。

 2012年1月にアイルランドで行われた国際試合、マンスター(Munster、アイルランド)対トレヴィーゾ(Treviso、イタリア)でのことです。

 レフリーの判定に再三文句を言うトレヴィーゾのスクラム・ハーフ、トビアス・ボーテス(Tobias Botes)と、キャプテンのアントニオ・パヴァネッロ(Antonio Pavanello)を呼び、オーウェンズは次のように警告しました。

Come here, time out please. 
I don’t think we’ve met before, but I’m the referee on this field, not you. 
Stick to your job and I will do mine. 
If I hear you shouting for anything again, I’m going to be penalising you.
This is not soccer, is that clear? 
Back you go and get on with your game.”

ここへ来なさい。タイムアウトだ。
私たちは初対面だな。いいか、このフィールドのレフリーは私だ。君じゃない。
君は君の仕事に専念しなさい。私は私の仕事をする。
また君が何か叫んでいるのを聞いたら、ペナルティを科すことになるだろう。
これはサッカーじゃないんだ。わかりましたか?
戻って、自分の試合を続けるんだ

※Referee Nigel Owens tells off Tobias Botes - 'This is not Soccer'

※Referee Nigel Owens tells off Tobias Botes - 'This is not Soccer'

 この「This is not soccer」発言が生れた背景について、オーウェンズは自身の著書『The Final Whistle: This Is Not Soccer』の中で次のように解説しています。

 2010年のサッカーワールドカップ南アフリカ大会での出来事です。レフリーの判定に不満を持った選手たちが審判を取り囲むなどの行為が度々ありました。これはスポーツマンシップ上問題があるとして、メディアでも大きく取り上げられました。

 オーウェンズは「ラグビーがサッカーよりも道徳的に優位に立つという話ではありません」と強調。その上で「歴史的にラグビーのレフェリーに対する敬意は神聖なものです。そして、今後もそうあり続けなければなりません。しかし、サッカーと同様のことがラグビーにも起こり始めているのではないか」という懸念があったと語っています。

 オーウェンズの「This is not soccer」発言はSNS等で瞬く間に拡散。「This is not soccer」とプリントされたTシャツまで発売されました。10数年経った今でも、Amazon等で販売されているようです。

※This Is Not Soccer ラグビーファンと審判用ギフトTシャツ Tシャツ

 前回の日本大会に続き、今回のフランス大会でもレフリーを務めるルーク・ピアース(Luke Pearce)は現在35歳。コミュニケーション能力が高く、試合のペースを維持することを好むスタイルが選手に好評で、ラグビーファンの人気レフリー投票でも1位になっています。

※Luke Pearce named the best rugby referee in the world(2023年5月19日)

 2018年11月24日、カーディフで行われたウェールズ対南アフリカ戦での事です。前半22分を過ぎたところで、ピアースがウェールズのノックオンの反則をとりました。しかし、その直後に一部の選手がつかみ合いの乱闘を始めてしまいました。

 ホイッスルを吹きながら、選手たちを落ち着かせたピアースは、ウェールズのキャプテン、アラン・ウィン・ジョーンズ(Alun Wyn Jones)と、彼とつかみ合いとなった南アフリカのフランコ・モスタート(Franco Mostert)、そして同キャプテンのシヤ・コリシ(Siya Kolisi)を呼び寄せ、次のように説明しました。

So let me tell you what I'm seeing now. 
You two are having a really good competition. 
But it comes to a line now.
We can't cross it happy. 
I just got a knock on. 
We don't need a scuffle off the ball. 
It's a review of a game so far. 
So let's crack on with a scrum. 
And you two and you two can calm it down now. Yeah? 
Thank you. Let's go.
私が今見ていることを教えてあげよう。
君たちは本当にいい試合をしている。
しかし、たった今一線を越えようとした。
私たちがその一線を超ええることは、決して幸せなことではない。
私はノックオンの反則を取ったが、ボールのないところでの取っ組み合いは必要ない。
これがここまでの試合のレビューです。
じゃあ、スクラムで試合を再開しよう。
君たち2人はもう落ち着いてくれ。いいな?
ありがとう。行くぞ

 もめていた両選手の腕に手を置きながら、ピアースが「you two can calm it down now(落ち着いてくれ)」と声をかけていた姿が印象的です。

 様々な国籍の選手が戦うワールドカップ。レフリーもわかりやすい英語でゆっくりと話しているようです。他方、ウェールズやオーストラリア出身のレフリーもいるので、様々なタイプの英語に触れることもできます。どうしても聞き取れない個所は、ETC英会話の先生にレッスンで質問をしてみてはいかがでしょうか。

 白熱する試合を楽しみながら、レフリーの英語リスニングに挑戦してみませんか。

(*)参照サイト
※'This is not soccer!' The real stories behind Nigel Owens' famous one-liners and the special gesture from All Blacks hero Dan Carter
(WalesOnline、2022年10月31日)

(*)関連サイト
レフリー英語、一部英語字幕付きなので、より理解しやすいと思います。
※The BEST 'Ref Mic' Quotes in Rugby

上記の動画のリアクションビデオです。ラグビー選手兼レフリーが解説しています。
※Football Referee Reacts to... The BEST 'Ref Mic' Quotes in Rugby

※10 Minutes of Nigel Owens being Nigel Owens | The Referee Grand Master

※5 minutes of Luke Pearce being Luke Pearce!


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