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一撃一文


《「もちろん、夢を見ることはあるさ」ある晩、彼は言った。》

600ページを超す文庫はこう始まった。

マイケル・ジョーダンが夢を?

我々の夢の果ての存在であるかのような彼が、なお、夢を?

このように冒頭にして我々は意表を突かれる。

そして著者の名前を見て、再度、私は意表を突かれる。

ボブ・グリーン。

あの『アメリカン・タイム』シリーズで小気味良いコラムを書いていた人がこんな大著もものしていたとは。

構成の妙、文才がなす技を一瞬で体感したのは2024年年頭のブックオフ巡りの棚の前でのこと。全品20%オフは100円コーナーに収まるこの本にも掛けられていた。

買ったはいいが、熱心なジョーダンファンでもない私はこの大著を読みきるだろうか。

まぁ、いい。たまに気が向いた時に開いて、夢を覗けば。

ジョーダンの凄さをよく知らない私なんかでも、NIKEのエア・ジョーダン誕生を描いた映画『AIR/エア』を見て彼の迫力に圧倒されてしまったことを思い出す。

わかりやすいアメリカンジョークも散見される映画の出来はともかくとして、常に影法師のように表現されていたジョーダンのキャラクラー造形は見応えがあった。

顔の全貌が明らかにされないというのは、ある種の夢の創出でしょう。甘い罪。

植田店は閉業のため訪れることが出来なかった。


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