君と食べた朝ごはん

スーパーの買い物でふと、足が止まったのは納豆のコーナーでした。
最近、食べてないなぁと思って手を伸ばした納豆。
小粒の納豆が好きなんだけど、ひきわり納豆に手が伸びる。ふと、懐かしい顔が思い出さられる。
僕はカゴにひきわり納豆を入れ、レジに向かった。
君が好きで、朝食に用意してくれていた、たくさんのひきわり納豆。
朝の遅い2人の、お昼前に食べる朝ごはん。
僕らの休日はそんなふうに始まっていたと思う。
お昼からなにしようか?ゲームしようか?映画見ようか?買い物行こうか?
特に何も決まってない。
君と過ごせたらなんでも良かった。
大概は2人で映画を借りてきて、一緒に見て、お酒を飲んで、酔っ払って、キスをして、一緒に朝を迎えていた。
君がいる事が幸せで、君に笑って欲しくて、君の為ならなんでも出来て、君の温もりを感じていたかった。
だから、2人で過ごした時間はかけがえのないものだったんだ。
だから、君と過ごせた時間があんなに儚くて、暖かくて、やわらかくて、今では夢みたいに思えるのかもしれない。
そんな時間を共にしたから、君と食べれた納豆だから、僕はまた食べたいと思って、ひきわり納豆に手を伸ばしたんだと思う。
君は今も誰かと美味しい朝ごはんを食べていますか?
僕はもう、あの朝ごはんを食べれなくて、少しだけ寂しい気分になります。
またいつか、誰かと美味しい朝ごはんを、納豆を食べれたらと、そう思ってます。


こちらは朗読用に書いたフリー台本です。
ご利用の際には以下のページを一読お願いします。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?