【基盤編】第1章 ソーシャルワーカーのポジショニング「断らない相談」って? ソーシャルワーカーのための「面接技術」Plus Ultra 2
【基盤編】
第1章 ソーシャルワーカーのポジショニング
「断らない相談」って?
現任のソーシャルワーカーだった時、いわゆる「支援者」と話をする中で、次のように感じることがあった。この「支援者」の方は、なんでソーシャルワーカーを目指したのだろうか。もともとどんなことをしたくて、この仕事に就いたのだろうか。そしてそれが、なぜ今、サービス調整ありきになり、その制度について詳しいことがプロと思い込み、固着した枠組み以外の相談は断るようになってしまったのだろうか。
もし読者が学生だったら、なぜソーシャルワーカーになりたいと思ったのか、思い出してほしい。
現任のソーシャルワーカーも同様、ソーシャルワーカーとなって初めての頃を思い出してほしい。
「断らない相談」は、このような「想い」があれば、あえて国を挙げて強調※することではないのかもしれない。具体的にみていこう。
「断らない相談」とは、「助けてほしい」「○○について相談したい」と、自分からSOSを出してきてくれた人々に対する「相談窓口」の人々の姿勢や対応に言及するものである。これは、勘違いをする人も一定数いるかもしれないが、寄せられた相談内容について、その相談窓口だけで「全て解決する」ということではない。
相手の話を丁寧に聴いて、同じ目線に立って一緒に考え、共に悩み、他の専門職や地域住民とも連携・協働して支援を行っていくために、まずは相談を「受け止める」ことが大切なのである。
例えば、「高齢者の生活のことの相談窓口」に、「高齢者以外」の生活について相談があったときに、「断らない」ということである。
例えば、「病院で働く医療ソーシャルワーカー」に、「入院中の患者ではない」家族について相談があったときに、「断らない」ということである。
例えば、制度・サービスを扱う相談窓口」に、「制度・サービスに該当しない」内容について相談があったときに、「断らない」ということである。
なぜ、そのようなことが求められるのだろうか。まだイメージがわきにくいかもしれない。
「断らない相談」の充実によって、早期のニーズキャッチが可能となるわけであるが、このことについて詳しくみていくために、「商店街にやってきた『牛肉を買いたい』お客さんに対する“八百屋”の対応」を例にみていこう。
※地域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進に関する検討会(地域共生社会推進検討会)編(2019)において、「断らない相談支援」が重要視されている。
、、、つづく
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