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東京人には「言うたら・言うても 」  は似合わない  ~関西弁の東京進出と一極集中問題~


【※おことわり こちらの記事は筆者が以前 Amazon Kindle で出版した同タイトルの電子書籍を一部再編集したものです】


はじめに


筆者は30年以上の長きにわたって、納得がいかないことがある。

それは、
「なぜ、天下の大都市たる首都・東京が、一地方の方言である関西弁にいつも圧倒され続けているのか?」
ということである。

東京は日本の中心だから、全国各地からあらゆる人やモノが集まるので、当然関西からも色々東京に入ってくるだろう。

とは言え、特に言葉の点において、平成以降の東京は関西の影響をあまりにも受けすぎているのではないか。

従来の東京の言葉が使われなくなり、関西弁がそれにとって代わるという構図が、ここ30年で激増した感がある。

このことは、東京を離れた外野から見ても、いやむしろ外野だからこそ、より分かるのかもしれない。

その原因は、関西のお笑い芸人が東京に大挙押し寄せたこと、テレビメディアが彼らを後押ししたこと、地元意識の希薄な新・東京人が関西弁を安易に受け入れたことなどが挙げられる。
(逆に関西人【超…】【しょっぱい】など、東京っぽい言葉をなかなか受け入れないこととは対照的だ)

筆者は関西人だが、高校生の頃から関西人の何処に行っても関西弁を直さないことが大嫌いだった。

他の地方出身の人は上京すると、皆方言を直し標準語を話そうと努力して東京人になっていく(むしろそれがステータスだった)のに、何故か関西人には全く方言を直さない人がいる。

“自分たちは特別だ!”
通用するから、直す必要がない”
と思い上がっている感じが嫌いだったからだ。
 
そして平成以降ついに、東京に関西のお笑い芸人が大挙押し寄せるにつれて、彼らが使う関西弁が、若干だが一般の東京人にも広まってきた。

筆者が東京好きになった頃から危惧していたこと(何処に行っても直さない彼らの関西弁がメディアを通じて広まり、若い東京人に受け入れられ定着し、さらにそれが標準語化して全国に広まる)が、いよいよ現実化しつつあった。

それから約30年、いち東京ファンとして外野から眺めて来たが、想像以上に東京は関西弁に侵食されている。

『東西のいがみ合いなど、時代遅れだ!』
関西弁は面白いんだからいいじゃないか!』

と思う人もいるだろう。

さらに、どうしても納得が行かないのが、逆に東京の言葉が関西流行ることはあまりないということだ。

東京ですらそうなのだから、東北で発信された情報が関西で話題になることなんて、悲しいかなほとんど皆無だ。

自分たちのスタイルは他所に行っても変えないけど、他所の文化は絶対に受け入れない!』

という雰囲気が、この関西には満ち満ちているのである。

「それって、不公平じゃないか?」
と、筆者はずっと思い続けてきた。

その率直な思いを、この本の中で吐き出していきたい。
この30年の間に関西弁がどのように東京人に受容されていったのかをまとめた。

東京に憧れた関西人らしい、筆者ならではの内容になったと自負している。

筆者と同世代の方には、

『たしかに昔はそうだったなぁ!』

と、思い出して頂けるだろうし、また若い方には、

『なぜ関西弁だけ、特別扱いなのか?』

の理由がわかるし、

『関西弁って、昔は東京のテレビではマイナーだったんだ!』
『この言葉って、元は関西弁だったの?』

など、新たな発見になると思う。

この本のテーマである、

“東京人の関西弁受け入れ”

を通じて、関東・関西の対立から融和の時代への変化、そして関西弁の東京進出と一見無関係に思える東京一極集中問題や、それによる地方の過疎化などにも、関心を持って頂ければ幸いである。

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