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【吹奏楽部】金管楽器を吹くあの人

 中学生の時、家庭の都合で転校した。
その転校先で吹奏楽部に入った。元々吹奏楽部でフルートを吹いていたため経験者として入部。転校前の学校よりもコンクールを目指しておらず、軽い習い事感覚で活動ができて楽しかった。前の学校はコンクールに命を懸けており私の肌には合わなかったのでちょうどよかった。

 その部活で、トランペットを吹いている後輩がいた。
とても頭が良くて落ち着いている子だった。ちょっと落ち着きすぎている感じもあった。天体が好きで運動だろうが勉強だろうがやれば何でもできるような子だった。

 私はその子に恋をした。

 トランペットを真剣に吹く姿がとてもかっこよかったと思ったら、鼻水をジャージの袖で拭ってしまうクセも愛らしかった。
 身長も最初は全然変わらなかったのにどんどん背が高くなる成長ぶりにも惹かれた。前に出てくるような子ではなかったけれど、決して目立たない訳ではなく、影でそっと支えてくれるような人だった。そしていつもモテていた。みんなその子の魅力にメロメロだった。

 私は中学から大学卒業ぐらいまでずっとその人に片思いしていた。
決して一途な片思いではなかったけれど、心のどこかにその人が居て会うたびに初恋が思い出され、さらに好きになった。その人にはずっと恋人が居たけれど、いつか私にも機会が巡ってくるんじゃないかと思っていた。結局行動しないとそんな機会は訪れないが。


 今でもたまに夢に出てくるぐらいに私の好みとする基準となった。初恋とは本当に恐ろしい。


 

 

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