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『存在のない子供たち』から学ぶ 労働力としての子供

レバノン映画、「存在のない子供たち」(カペナウム)を見ました。
『圧倒的』の一言。映画とは思えない、臨場感あふれるリアルなカメラワークが、この世界で、声をあげても届かない人たちの、深刻な問題を私たちの目の前にまざまざと突きつけます。

・ストーリー

レバノンのスラム街に住む、貧困家庭の下に生まれたゼイン。
貧困家庭で彼は朝から晩まで働き詰め。両親からも雑に扱われ、ゼインは家を飛び出した。しかし依然、彼にとって長すぎるこの人生に光は見えないのだった。
後に、両親と裁判所で再会したゼイン。
そして彼は言った。
「僕を産んだ罪であなたたちを訴える」

・学んだこと

①子供が労働力として扱われる国がある


ゼインを含め、他の子供たちは、お金を稼ぐため、朝から晩まで路上でジュースを売ったりしながら働いています。開発国の貧困家庭では、子供は「労働力」として扱われているのです。
さらに驚いたことに、彼ら、彼女らには、出生を証明するものがないのです。両親は、病院に行くお金もなく、こっそりと子供を産むしかなかったのでしょう。

日本にいると意識しないですが、世界では5~17歳の子どものうち10人に1人が児童労働に従事しているそうです。児童労働は、貧困の根本的問題でしょう。彼ら、彼女らは大人になっても、低所得の職にしかつけず、その子供もまた労働しなければならないという連鎖に陥るからです。貧困国での教育分野に、日本などのいわゆる先進国が積極的に援助を行う必要があると感じます。日本でも貧困は無視できない問題ではありません。
「教育」の重要性を知り、政治に参加すべきだと感じます。

「人生は地獄だ」ゼインの言葉が胸に突き刺さる


②児童結婚という悪しき風習


ゼインの妹サハルは、11歳で、家族の雇用主である男性に嫁ぐことになります。
両親は、彼にせがまれ、泣く泣く彼女を売るしかなかったのでしょう。男性のもとに去っていくサハルを、ゼインが必死で追いかけるシーンは辛すぎます。
中東の一部に残る文化的慣習と貧困が、児童結婚という問題を生んでいます。

貧困が人の選択肢を消し去る


③『生』を受ける瞬間が最も残酷だ


この映画から学んだ最大のことは
「生」を受ける瞬間が最も僕たちにとって残酷な瞬間だということです。
なぜなら、親も生まれる場所も自分の力で選ぶことができないから。
『出産』は、子供に自由を与えると同時に、子供から自由を奪うという行為でもあるのだと学びました。だからこそ、私たちはしっかりと考え、計画性をもち、
『出産』について話し合う必要があります。

たまに僕は
「なぜ僕は日本に生まれたんだろう?なぜ途上国のスラム街に生まれなかったんだろう?」と意味のないことを考えます。そしてこの映画を見て思いました。
『僕が生きるかもしれなかった、世界のどこかで生きる人の人生を知らなければ。』

出産を罪と考えるゼイン

・まとめ

貧困、中東の一部に残る受け入れ難い慣習、移民問題、世界全ての問題が詰まった超圧倒的社会派映画です。
そして、『出産』という行為について、深く考えさせれる内容になっています。
社会派映画が好きな方は、ぜひチェックしてみてください!!


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