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「誰もひとりでは生きられない」崩壊に向かう先進国社会3

今回は食糧の保存技術について見ていく。

食糧も水も化学物質である

地球上のあらゆる生物は成長と生殖のために液体としての水を必要とするが、それだけでなく、物理的にも化学的にも特定の範囲内の条件しか許容できない。具体的に言えば、細胞内の酵素──生物化学反応を引き起こし、生命の歩みを調整する分子レベルの機構──は特定の温度と塩分濃度およびpH(液体の酸性度、アルカリ性度)の範囲内でしか活性化しない。
(後略)

この世界が消えたあとの科学文明のつくりかたp112
ルイス・ダートネル 東郷えりか 訳
株式会社河出書房新社
2018年9月20日初版発行

少々ミクロな視点で物事見てみよう。前回のnoteで「硫化水素を代謝してエネルギーを得ていたバクテリア」という文を書いた。

バクテリアとは細菌のことであり、細菌は原核生物げんかくせいぶつだ。
ちなみに細菌バクテリア古細菌アーキアが原核生物として分類され、これらと違って細胞内に核と細胞小器官を持つ生物を真核生物しんかくせいぶつと呼ぶ。
このくくりが生物を分類する際の出発点であり、そこから、界→門→綱→目→科→属→種と進んでいく。
我々人類は、真核生物→動物界→脊索動物門→哺乳綱→霊長目→ヒト科→ヒト属→ヒト、と分類せれる。本来はもっと細かいのだが話が逸れるので割愛する。

生物とは、体外から化学物質を摂取し、エネルギーとすることで活動を保つ存在である。
先程挙げたバクテリアは硫化水素を代謝する、いわゆる嫌気性けんきせいバクテリアで、酸素を代謝しエネルギーとするバクテリアを好気性こうきせいバクテリアと呼ぶ。

これらが増殖していく過程で変異し、真核生物が誕生する。
より効率よく周囲の化学物質を取り込んでエネルギーとし、より効率よく自身を複製することでエラーの起きる頻度は上がる。そして複製のミスによってこれまでと違った存在へと変異していく。このようにして生物多様性というものが発生する。
生命活動の維持と自己の複製のために化学物質を奪い合う「化学物質で構成された存在」が生命と呼ばれるものだ。それぞれ奪い方が違うだけであって好気性も草食も肉食もやっていることは同じである。
そして微生物は我々の目には見えないが、至る所に存在している。これらはエネルギーを得るのために代謝できそうな物質を狙っている。

食糧の保存とは、いかにこれらの微生物から我々の食糧を守るかという戦いだ。

食糧や水の保存

一般に食糧や飲料を保存する場合、我々は以下のような手段とる。

・冷蔵、冷凍する
・干物にする(干し野菜、肉、魚etc)
・漬ける(塩漬け、砂糖漬けetc)
燻製くんせいにする

上記のように色々な保存法がある。短期的な保存であれば外気に触れないようにサランラップやタッパー等を使用する。長期的に保存するならやはり冷凍が良いだろう。
例えば冷蔵庫の魚は可能な限り早く消費する必要があるが、冷凍すれば1年以上保つ。実際に私も貰い物の鮎を冷凍したまま1〜2年ほど忘れていたが、問題無く食すことができた。

しかしこの長期保存が可能な冷凍という保存方法にはそれなりの設備が必要だ。現在販売されている冷蔵庫には基本的に冷凍室があるが、冷蔵庫の使用できない環境であれば極寒でもない限り冷凍保存は難しい。

冷やして保存する以前に、食糧の寿命を延ばすための加工について考えた方が良いだろう。

人間が食事をするのも細菌が特定の物質を代謝してエネルギーを得るのも本質的に同じことである。
生物はタンパク質を重要な構成要素としているため、基本的にタンパク質が変性する温度は苦手だ。当然例外も存在するが一般的な生物のタンパク質が耐えられる温度は「耐える」の定義にもよるが、そう高くも低くもない。
だからこそ、冷蔵や冷凍は微生物の活動を停滞させたり、微生物を死滅させるのに有効なのだ。
当然、タンパク質が変性するような高温によって微生物を死滅させるのも殺菌として効果的である。
これは概ね「生食は避けてしっかり火を通せ」という食文化とも一致する。
もっとも、火を通した後に放置すれば新たに細菌が付着して増殖するのだが。

ここまでは温度変化による殺菌をみた。ここからは冒頭で触れたような温度変化以外の殺菌方法を見ていきたい。

まずは乾燥からだ。

(前略)
水が充分になければ、細菌は繁殖が困難になる(中略)。従来の方法は空気乾燥させるか日干しにするものだ。
(後略)

この世界が消えたあとの科学文明のつくりかたpp112-113
ルイス・ダートネル 東郷えりか 訳
株式会社河出書房新社
2018年9月20日初版発行

ちなみに現代ではフードドライヤーという機器があり、生肉、魚介類、野菜、果物などをなんでも屋内で乾燥させて加工することができる。一般家庭でも使用可能であり、天候に左右されることなく、蝿がたかることも猿に盗まれることもない。
なにより、田舎や一軒家ならともかく、分譲住宅などではまともに食料を干すこともできない。スペースや日照にも左右されないのは大きな利点だ。
使用感を調べてみると、意外と電気代も安く食材の旨みが凝縮されるそうである。

次は「漬ける」について

(前略)
砂糖のように溶解する化合物を大量に使うとその溶液は非常に濃縮されたものになり、微生物の細胞から水を引きだすため、よほど手強い菌株以外は繁殖を食い止められる。
(後略)

この世界が消えたあとの科学文明のつくりかたp113
ルイス・ダートネル 東郷えりか 訳
株式会社河出書房新社
2018年9月20日初版発行

また、

(前略)
塩漬けした食品は砂糖漬けと同じ方法で腐敗から守られている。
(中略)
生肉でも数日間、乾いた塩のなかに漬けるか、塩分濃度の高い液体内に沈めておくことでうまく保存できる。
(後略)

この世界が消えたあとの科学文明のつくりかたp113
ルイス・ダートネル 東郷えりか 訳
株式会社河出書房新社
2018年9月20日初版発行

というような浸透圧を利用した保存方法だ。

砂糖や塩が必要となるので長期的にはこれらの調達手段も必要である。

塩は海水を蒸発させて得られるが、砂糖はどうだろう?
ご存知の通り、サトウキビや甜菜てんさいをドロドロにしてから砂糖の結晶を取り出すわけだが、問題は原料であるこれらの植物の栽培だ。
植物の栽培には北限ほくげんと呼ばれるものがあり、その意味するところは文字通り北の限界である。つまり生育限界地点だ。
調べてみたところサトウキビの場合は種子島が北限となるらしい。要は暖かい気候が必要ということだ。だから日本のサトウキビはその生産のほとんどが九州となり、半分以上は沖縄県となる。
余談だがTHE BOOMの歌で有名な「島唄」の歌詞に登場する「ウージ」とはサトウキビのことである。
また甜菜は日本国内では北海道でのみ栽培されており輪作にも利用されている。

次に燻製くんせいだ。

塩漬けは別の保存技術と組み合わせて利用されることが多い。毒性のある抗菌性成分を自然に生成させ、たいがいは肉か魚の産物にそれを染み込ませる方法、つまり、燻製加工だ。
(後略)

この世界が消えたあとの科学文明のつくりかたp114
ルイス・ダートネル 東郷えりか 訳
株式会社河出書房新社
2018年9月20日初版発行

これに関してはここで説明するよりも実際にDIYをして説明しているブログなどを閲覧した方がよい。自作燻製器や使用法、スモークチップの準備の仕方などがよく理解できる。

次に酢漬すづけだ。
食糧の保存環境を酸性に傾ける。
本noteの冒頭でも引用したが、pHを生物の生存、繁殖に適さない状態にすることも食糧保存において重要なのだ。

さて、酢漬けは主に酢酸さくさんを使用するわけだが、酢酸はどのように得られるだろうか?

(前略)
アルコールは、ワインを飲む人なら誰でもボトルを開けて数日後には間違いなく気づくように、しばらく空気にさらされると酢に変わる。新たな細菌が液体内に定着し、エタノールを酢酸に変えるためだ。調理用の酢やテーブルビネガーは通常、5%から10%の酢酸を水で薄めたもので、酢漬けにはより濃縮された酢が使われる。

※見やすくするために漢数字をアラビア数字に改めています。

この世界が消えたあとの科学文明のつくりかたp123
ルイス・ダートネル 東郷えりか 訳
株式会社河出書房新社
2018年9月20日初版発行

このようにアルコール飲料を外気にさらしておくことで酢酸を得る方法があり、実は西暦紀元前から知られていた。


ではアルコールはどのように得れば良いのか?
まず苗床からみていこう。

(前略)
大麦(実際にはほかのどんな穀類でもよい)の粒を水に浸し、湿度の高い温かい室内で一週間ほど発芽を促し、デンプンを使用しやすい糖に分解させる(デンプン分子は糖のサブユニットがつなぎ合わさって長い鎖となっている)。それから乾燥させるか、窯で部分的に──最終的な醸造酒の色と香りを変えるために──あぶる。この麦芽モルトを熱湯のなかで潰し、糖分をすべて溶解させてから漉して、甘い麦汁をつくる。麦汁はまず沸騰させて、糖分を濃縮させるためにいくらか水分を蒸発させる。これで殺菌され、発酵にふさわしい微生物をあとから加えるために白紙状態をつくりだすことにもなる。
(後略)

この世界が消えたあとの科学文明のつくりかたp123
ルイス・ダートネル 東郷えりか 訳
株式会社河出書房新社
2018年9月20日初版発行

あとは酵母さえあれば醸造が始められる。

酵母はどのように用意すればよいのか?

なるべく早い時期にスーパーマーケットから探しだすべき有益な品は、生きた酵母の沈殿物が底に残っている缶ビールだ。
(後略)

この世界が消えたあとの科学文明のつくりかたp124
ルイス・ダートネル 東郷えりか 訳
株式会社河出書房新社
2018年9月20日初版発行

このようにすでにあるモノから利用することができる。しかし、それらが利用できないとしたらどうすれば良いのだろう?
私たちの身の回りには多種多様な微生物が存在している。部屋のホコリにも床にも壁にも空気中にさえも、何かしらの微生物が存在する。それらを適当にぶっ込めば良いのだろうか?
無論そんなわけがない。これまでみてきたように、食糧を保存する上で微生物の影響を排除するのが重要なのだ。

今回は微生物に頼るわけだが、選り好みが必要となる。

小麦粉一カップ(この最初の工程には全粒粉が最適である)と水三分のニカップを混ぜる。一ニ時間したら、気泡が形成されて増殖と発酵の兆候がないか確認する。何も見られなければ、かき混ぜてあと半日待つ。発酵したら、この培養物の半分を捨てて、同じ割合で新しい小麦と水を入れ、この継ぎ足しを一日に二度繰り返す。
(中略)
一週間ほどたって、健康的なにおいの培養物が補充のたびに安定して増殖し発泡するようになり、
(中略)
この反復工程を経ることで、
(中略)
小麦粉のなかのデンプン栄養素を使って増殖できる野生菌株で、ニ〇℃から三〇℃くらいの温度で最も急速に細胞分裂するものだけに絞っているのである。
(中略)
練り粉のように、酸素の豊富な環境で増える酵母は、食物の分子を二酸化炭素にまで分解することができる(ヒトの代謝機能と同様である)。しかし、酸素の制限された嫌気状態で培養されると、酵母は部分的にしか糖を分解できず、代わりに老廃物としてエタノール(アルコール)を放出する。
(後略)

この世界が消えたあとの科学文明のつくりかたpp121-122
ルイス・ダートネル 東郷えりか 訳
株式会社河出書房新社
2018年9月20日初版発行

こうして酵母を得ることが可能だ。ちなみに日本では自家醸造が法律で禁止されているので、試してみたい方は注意が必要だ。

なぜ禁止されているかの経緯が中々興味深いので是非検索してみてほしい。
個人的には現代には不要な法律であると思う。

ここまでの話でとりあえずは酢酸を得るための方法が理解できたと思う。けっこうざっくりとした説明なので興味が湧いて詳しく調べたいと思ってもらえたなら幸いだ。

今みたのは酸性度を高めることで微生物から食糧を守る方法だったが、では同じpHの話であれば、アルカリ性ではどうなのだろうか?
結論から言えばアルカリ性にして保存することは可能である。しかし、それは鹸化けんかさせるということになるため、食糧としてはゴ◯になるも同然だ(鹸化とは石鹸を作る方法として有名である)。

神器の名は伊達ではない

これまでにみてきた保存方法はどれも人類の文明には欠かせないものであった。だかしかし、現代人としてはやはり冷やすことの重要性を強調したい。

昨年、つまり2023年はアニサキスが有名になった。普段から魚類を加工したり、調理する人間からすれば「何をいまさら」という感覚であったらしいが、一般層(魚を捌かないタイプの)はかなりの衝撃を受けた。
この際に様々なアニサキス対策の風説が流布されたのだが、あくまで公式に言われたのは、「火を通すこと」「−20℃で1日冷凍する」である。

「いや、新鮮な刺身が食べたいんじゃいッ!」

と拒否する方々も多かったが、加熱も冷凍も食材をより安全に保存したり摂取する上で効果的なのは否定できない。

そして、解凍し更に加熱することでもっと安全に食すことができる。だがこの技術は現代の食糧保存技術の一種の到達点であり、基本的に科学文明の持続が必要である。

現在、冷蔵庫の使用には電力が必要だ。
「当たり前だ!」
という声が聞こえてきそうだが、面白いことにそうではない技術も存在する。まず一般的な冷蔵庫の仕組みから説明しよう。

機械式の冷蔵庫もみな、その仕組みは同じ基本原理による。つまり、「冷媒」の蒸発と再凝縮を利用するものだ。蒸発(沸騰)させるには熱エネルギーが必要だが、凝縮させる場合はその熱エネルギーを放出する。断熱した箱の内部にあるパイプで、冷却サイクルのうちの蒸発を引き起こせば、この閉鎖空間から熱が奪われて、内部が冷やされる。奪った熱は装置の裏側にある黒い放熱器ラジエーターのフィンを通じて周囲の空気中に放出できる。
 現代の冷蔵庫はほぼすべて、電動の圧縮器コンプレッサーを使って冷媒ガスを凝縮させている。冷媒を〔圧縮して〕液体に戻し、再び蒸発させて庫内からまた熱を取り除かせるのである。
(後略)

この世界が消えたあとの科学文明のつくりかたp128
ルイス・ダートネル 東郷えりか 訳
株式会社河出書房新社
2018年9月20日初版発行

お分かりだろうか?
もしかするとイメージしづらいかもしれないので可能な限り解説してみる。

例えば、夏場のアスファルトの温度は酷い場合は60℃ほどあるらしい。ここに水を撒くとどうなるかというと、涼しくなる。
なぜか?
水道水の温度は20℃前後で、その水道水をアスファルトに撒くと水が接している場所を中心に水とアスファルトの温度が均一化されていく。更に蒸発する際にアスファルトの熱を奪っていくので一時的にだが、その空間の温度が下がる。誤解しがちであるが水の沸点は100℃でも、空気中に水分子が含まれているように、水が気体となるのに100℃必要なわけではない。

温度というものは常に均一になろうとする。我々の体も外気や物体に接している面は温度が均一化しようとしている。座っていた椅子が温かいのと同じだ。しかしそれでは我々の体の温度は生命維持不可能な温度に下がってしまうのではないか?

そうでないことはご存知の通りだ。我々恒温動物こうおんどうぶつは自らの体温を一定に保つためにエネルギーを消費している。この基礎代謝のおかげで活動できるのだ。

地球の半径は約6300㎞ほどで、中心温度は5000℃を超える。中心から地表に近づくにつれて温度は低下し、地表付近は太陽からのエネルギーがなければ温度はマイナスに落ちこむ。
ある意味でマントルや地殻等が断熱材の役割をしている。
また、大気の存在が宇宙との断熱材になっているため、寒すぎる宇宙空間の温度や強すぎる太陽光のエネルギーが地表に届く前に軽減されている。

断熱されている空間に外部からエネルギーが入らなければ温度は低下し続ける。人間の感覚では理解し難いが、温度というものは低いのが普通である。
宇宙空間において恒星の影響圏にない場所の温度は基本的にマイナスだ。宇宙は冷たいのが普通であって、水(H2O)が固体化する温度を0℃として尺度にしたのは人間であり宇宙ではない。この0℃ですら宇宙からみればかなり温かい。

簡単な話、熱源を遠ざけること(断熱)ができれば物質は勝手に冷える。だが人間の生活空間には適温というものがあり、その適温は微生物にとっても適温であるため、局地的に断熱しなければならない。
暖かい空間の一部を断熱するので、規模から考えて完璧な断熱は困難であるから吸熱が肝要となる。

熱の伝わりにくい冷暗所に雪や氷を蓄えていた原始的な冷蔵庫を、小型化してある程度持ち運びを可能にすると、断熱の工夫(小型化に伴う)、吸熱の仕組み(完璧な断熱は現実的ではない)放熱の仕組み(熱が戻っては無意味)、それを持続させるエネルギー(仕組みの維持のため)が必要となる。

次に一般的ではない方の冷蔵庫について↓

(前略)
この方式では、アンモニアなどの冷媒を圧縮するのではなく、ただ水に溶けるに任せることで、もしくは吸収されるままにすることで、凝縮させる。アンモニアと水の混合物を熱してアンモニアを分離させれば、冷媒は冷却サイクルに戻る。アンモニアは水よりも沸点がはるかに低いので(中略)、ガスの炎か電熱線、またはただ太陽の熱を利用するだけでも充分に蒸発させられる。吸収冷却装置はこうすることで、熱を巧みに利用して物を冷やしておけるのだ。
(後略)

この世界が消えたあとの科学文明のつくりかたpp128-129
ルイス・ダートネル 東郷えりか 訳
株式会社河出書房新社
2018年9月20日初版発行

上記引用が電力を使用しない冷却システムである。電力は使用しないが冷媒が必要であることには変わりないので、我々が一から冷蔵庫を用意しようと思った場合、気体の生成技術や保存技術が必要となり、またしても別系統の知識や技術が求められる。それにそもそも、冷蔵庫のガワを作る技術も必要だ。
もし文明社会に破局が訪れた場合、食糧の保存に文明の利器を使用するのは困難だろう。

となると、もう少し再現可能な技術で代用する必要がある。

(前略)
冷蔵庫をつくるローテクの解決方法は、要は素焼きの容器に汗をかかせることだ。アフリカで普及しているジーアポットは、蓋のある陶製の壺を、それより大きな素焼きの壺のなかに置き、隙間を湿らせた砂で埋めたものだ。水分が蒸発するにつれて、内部の容器から熱が奪われ、温度が下がるので、ジーアポットは市場での青果の日もちを一週間かそこら延ばしてくれる。

この世界が消えたあとの科学文明のつくりかたp128
ルイス・ダートネル 東郷えりか 訳
株式会社河出書房新社
2018年9月20日初版発行

おわりに

今回は食糧の保存についてみた。重要な点は食糧を微生物が利用できる状態で保存しない、ということであった。

加熱やその他の手段で殺菌し、他の微生物の影響を受けないために密閉し、仮に微生物が存在してもまともに活動できないのように冷やす。

これらの手法を人類は昔から行い、現在は機械化して同じことを行なっている。そして機械化された食糧保存技術も、別の技術体系の複合的な産物である。


参考文献

この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた
ルイス・ダートネル 東郷えりか 訳
株式会社河出書房新社
2018年9月20日初版発行

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