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【出版のミライ①】スピード社会だからこそ、急がば回れ

【エッセンシャル出版社の考える「出版のミライ」①】

こんにちは!エッセンシャル出版社の小林です。

私が、”本づくり”をしていく上で、日々、どのようなことを考え、どのような目的で本をつくっているか、記事風に残していきたいと思います。

【プロフィール】
大学卒業後、年中~小学校6年生までの子を対象とした塾、花まる学習会に入社。将来メシが食える大人になること、魅力的な人になるということを教育理念の事業で、授業や野外体験の引率などを行う。授業など子どもたちに関わる傍ら、広報部、講演会事業、ブロック責任者などあらゆる業務にも携わる。現在はエッセンシャル出版社で、本づくり、広報など、出版業に関わる全てに携わる。
エッセンシャル出版社: https://www.essential-p.com/


目まぐるしく環境が変化する社会。

新しいサービスができて、あっという間に世間に広がったり…
そのサービスより、更に良いサービスができて、そちらに流れたり…
SEO対策をしていたけれど、評価軸が変わって右往左往したり…

そんな社会の中、「スピード感をもって変化していかないと、取り残されてしまう…」と焦ることがあります。

”変化する”ということは、進化していく上で重要なことだと思います。
ただ、”どう変化をさせたらいいのか、わからない”のです。


そこで最近考えているのは…

全体感がわかれば、自分で仮説が立てられるのではないか

ということです。

例えば、アリの行列を、自分がアリの視点になって見たとしても、この行列がどのように動いているのか、どこに向かっているのかは、把握しにくいと思います。でも、人間の立場でアリの行列を眺めてみると、「あ、段々と右側に寄っていっているな」というような、集団の動きの変化にも気づきやすいと思いませんか。

別の例で言うと、小学校3年生の子どもの漢字テストがあるとします。
残り3日しかないけれど、子どもが全く勉強をしていません。

そのテストは、
読み方:30問、書き:10問、音訓問題:5問、書き順:5問 合計50問
という型で出題されることを、自分が知っているとします。

そうしたら、子どもに「まずは、読めるように練習しようか」という提案ができるかもしれません。

でも、テストの構造(型)を知らなかったら!?
子どもに対して、効果的なアドバイスは難しくなってしまうでしょう。

また、例えば、受験の専門家が、受験生の親に対して、「夏は、過去問はやらなくていいんです。この時期にやるべきことは、1学期までに扱った課題の復習です」というアドバイスをしていたとします。

夏というのは8月までなのか、9月までなのか。8月の2週目くらいまでなのか…夏は受験生にとって、どういう時期で、残りの時間にどんなことが待っているのかを知らなければ、保護者は、ただ、そのアドバイスに従うことしかできないですよね。
しかし、今年はコロナもあり、塾にも通いにくくなるかもしれない、本屋さんで過去問を買うこともしにくくなるかもしれない。Amazonも生活必需品を優先して、本の発送を遅らせるという対応をするかもしれない…そんな状況の中、「本当に今年の夏も、過去問をやらなくてもいいのか?」と不安になることもあるかもしれません。
そんな時に、別の専門家は「とにかく過去問だけを徹底的にやれば、受かります」と言っている…、そんな情報を耳にしたら。
どうしたらいいか、何を判断基準にしたらいいか、どんどん迷ってしまうことになってしまいます。

これらはあくまでも、たとえです。

迷ったときに、どの様にやり方を選択すればいいのか、環境の変化に応じてやり方を変えていく方がいいのか、毎回、専門家に相談して、不安を払拭することも一つの手だとは思います。

でも、他人の意見に右往左往するのではなく、少しでも自分で判断していくためには、一生懸命、「How to」を集めるのではなく、まず、全体感を持つこと、少し俯瞰して、その物事を見ることが、”急がば回れ”になるのではないか、そんな風に考えました。

俯瞰する習慣がないのは当たり前。
これまでは、俯瞰しなくてもいい時代だった。

物事を俯瞰するのはなかなか難しいですし、成果が感じられにくいです。「How to」を手っ取り早く知りたい、という気持ちもわかります。
初めてのことに挑戦するとき、私も、「How to」を求めることが多いです。ついつい、「初心者でもできる」とか「まずは◎◎をしよう!」という書籍や記事を探してしまいます。

でも、何かを知れば知るほど、そのことの理念や考え方をきちんと理解しなければならないですし、結局、自分自身の軸や方向性がなければ、どの方法を選べばいいのかもわからないと思うのです。

いろいろな参考例を調べても、「この人にとっては良かったけれど、私にとってはそんなに良くない」ということもよくあります。(それこそが、多様性の社会において、前提条件や目指しているものが、人それぞれ違うということだと思います)

かつては、専門的に学んだ人や経験した人が、「これだけは大切!」とか「絶対にこのやり方がいい!」という信念をもって発表している本だけが、役に立っていたのかもしれません。

でも、価値も価値観も、生き方も人生観も、生活している環境も、いろいろなことが多様化してきた現在、「一つの方法」が当てはまりにくくなってきたのではないでしょうか。

これまで、私たちは、常に「効率化」「より良くなることが大切」「○をとる教育」を受けてきたために(今の教育でも多くがまだ、○をとる教育です)、効率的な「やり方」ではなく、「全体感」を学ぶことが、あまり得意ではないのだと思います。

「全体像を俯瞰すること」、それは、ちょっと無駄な”遠回り”のように感じてしまうのだと思います。

でも、変化がより激しくなる時代だからこそ、「全体を見る、俯瞰する」ということを、"急がば回れ"としてやった方がいいのだろうと思いました。

この業界、この世界に向き合い、挑みたいからこそ、「急がば回れで、俯瞰をしよう」と考えているところです。


想いを込めて作った書籍を応援してもらうことに繋がり、大変嬉しく思います。 また本が売れなくなっているというこの時代に、少しでも皆様にお伝えしたいという気持ちの糧になります。