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【エッセイ】日本の未来(カステラ)を憂う

皆さんカステラはお好きでしょうか。
私は大好きです。父の実家が長崎であることに誇りを持っているくらいには好きです。
そんなカステラ好きの私なのですが、先日取引先のお若い子とお酒を飲んだ時、こんな話をしました。

お若い子「あ、(私)さんのお土産のカステラいただきました! めっちゃ美味しかったです!」
わたくし「ああお口に合ったようで良かったです」
「ぼくカステラ好きなんですよね。結構いろんなの食べてて」
「ああじゃあ福砂屋のも食べたことありました?」
「え?」
「ん?」
「なんて言いました?」
「福砂屋?」
「え?」
「ん?」
「あれ福砂屋ってところのカステラなんですか?」
「カステラ好きなんですよね」
「はい、結構いろんなの食べてて」
「福砂屋」
「え?」
「ん?」
「ふく……?」
「ああパッケージ見ればわかるよ。この黄色いやつ有名でしょ?」
「なんですかこれ」
「福砂屋」
「え?」
「ん?」

埒が明かねえ

仮にこれが別に甘味に興味のない方だったら良いのですが、カステラ好きなら知っておいてほしかったなと思う所存にございます。
いやまあしかし、彼はまだ若い。物をこだわるのはこれからですね。
私はおおらかな心で福砂屋の美味しさと長崎のカステラのすべてをその飲み会で語ったわけです。
のちのち私がメインでやりとりしているその若い子の上司に「あの絡みは無いわ」と普通に怒られたのは言うまでもありません。
カステラについて熱く語っただけなのに……

福砂屋のカステラに入ってる紙。短編小説かな?

福砂屋のカステラの歴史はかなり古いです。
ちょろっと調べた感じ、カステラを作る会社の中で一番古いと思われます。
その歴史実に400年以上!(創業1624年。江戸幕府の将軍が3代目徳川家光の時です)
そんな歴史ありの福砂屋のカステラ。美味しいのはいうまでもありません。
しっとりふっくら。ザラメは他のカステラよりも少し荒く入っており、良いアクセントになっています。
カステラといったら福砂屋。これは私のささやかすぎる人生の常識となっているほどです。
それを知らないでカステラ好きを名乗るのは惜しすぎます。
ぜひとも少しばかり高級な五三焼も食べてほしいです。

さて、ここで福砂屋を語って終わっても良いのですが、少しだけこの話には続きがあります。
件の飲み会のあと、私はお若い子にならってコンビニのカステラを食べてみることにしたのです。
カステラといったら福砂屋の思考をもつ人間の私です。カステラはコンビニで買うなんて思いも寄りませんでした。むしろコンビニにカステラって売ってるんですか? というレベルです。(カステラマウント)
そしていざ実食。
私は驚きました。
普通に美味しいんです。コンビニ、恐ろしい。普通に美味しいです。
美味しくないカステラ特有のぱさつきもなく、ふわふわで悪くない。
そりゃあカステラ専門店と比べたらお取りますが、「特別なお菓子」ではなく「日常のお菓子」としてならアリです。アリとかいう評価すらおこがましい。

この話のオチ

こんなにコンビニのカステラが美味しいならあのお若い子の反応もおかしくないものだと思いました。
手軽に80点が食べられれば、面倒をかけてそれ以上を求めなくなりますよね。
少しそれは悲しいですが。
人生は死にむかって消費するものです(なんだかエッセイみたいな一文ですね)
その消費する時間の中で、楽しさやこだわりを見せるのが素敵なんじゃないかなと思います。
ですがそれがコンビニで手に入ってしまうなら。
より美味しいものを求める情熱も、そこまで生まれないかもしれません。
そんな感じでタイトル回収をして今日は締めさせていただきます。
みなさま、長崎に行った際にはぜひ福砂屋のカステラを。
おすすめです。
(私の地元、千葉市のデパートにも普通に福砂屋があるのに目を背けながら)

サポートという機能があるのに初めて気づきました。みなさんもそうだと思うのでぜひ私のエッセイで試してよいですよ。お願いします。