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『Rocketman ロケットマン』

この作品を『ボヘミアン・ラプソディー』と比べるなんてことはしない。若い世代でも、エルトン・ジョンの歌なら誰でも一度は耳にしたことがあるだろうけれど、この作品はエルトン自身がプロデュースにも関わっているし、まだ彼は生きているのだから、その人物を題材に映画を作るというのは、どちらかと言えば稀だ。たまたま主人公は両方ともゲイ・ミュージシャン・英国人だったというだけで、ステレオタイプにするのはナンセンスだ。

とは言っても、若くして有名になりスターダムにのし上がる人には、個々にケースが違っても、様々な葛藤があり、人前で作り上げるスターとしての像と本当の自分とのギャップに疲れ果ててしまうことはよくある話だ。自分を取り巻く環境の変化についていけなかったり、気づくと自分のことを商品としてしか見てくれない人たちに囲まれていたり。

同じように若くして売れっ子になった元Take That
のロビー・ウィリアムスが同様に依存症になった姿を見て、エルトンは速攻でリハビリの手配をしてあげたという、ロビー本人のインタビューを観たことがある。

とりたてて彼の音楽のファンではないけれど、『Your
Song』などは本当に美しくて、この一曲が誕生するシーンを観て感動する。髭を剃りにバスルームに入ったバーニーの書いた詞に、メロディーをつけて即興で歌い出すエルトン↓




何と言っても主役を演じたタロン・エジャトンの歌唱力と演技力に脱帽。ちょっとハスキーなところもエルトン・ジョンと違う歌声でまた良い。彼はこの作品でゴールデン・グローブも受賞している。


いずれにしても、エルトン・ジョンは今は愛する男性と結婚もして、養子に迎えた子どもたちと楽しく過ごしているようで、何より子供が生活の中心なのだそうだ。



こちらはローワン・アトキンソンがエルトン・ジョンをインタビューするコメディ。はっきりと発音してくれているから、英会話の教材に良いかも(笑)。エルトン・ジョンという名前についてひたすら突っかかるローワンである。



ロケットマンでは嫌なマネージャーの役だったリチャード・マデンとタロン・エジャトン。この動画はタロンが「ジャック・ザ・リッパー(英国で有名な凶悪殺人鬼)が初めて人肉バーガーを作ったのはここだ」と説明したり、道端でファンを驚かせたり、ただふざけていただけのものだけど。

映画では(ネタバレ)キス・シーンだけでなく二人の熱いベッドシーンもあった。

ソングライターのバーニーとの友情や、エルトンが子供の頃の自分とハグしあって、自分の中のおそらく今で言うインナーチャイルドを癒やすシーンなども感動だったし、英国の懐の深さと広さを感じるシーンもあちこちにあった。

いろいろ総合して、想像していたよりずっと良かった一本である。




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