触覚50倍のはなし
『マン・オブ・スティール』を観て思い出したのだけれど、書こうか迷っていたこと・・・を書く。
クラーク・ケントが子供の時に苦しんでいた、クリプトンから地球に来ると、備わっている全ての知覚が強過ぎて、圧倒されてしまうという件(ゾッド将軍も味わっている)で思い出した。
私が子供の頃、それは寝入りばなや、就寝中に起こることが多かったのだけれど、触覚が50倍くらいになっていて、超恐ろしいのだ。布団は鉛が入っているものが身体に乗っているように重く、枕も固くないのに強烈な圧で押し返して来る。一番怖かったのが、口の中。舌は重くて大きく感じられて窒息しそうで、さらに自分の歯があまりにも鋭くて自分の舌を切ってしまうから、どうにもこうにもしゃべることもできない。手に触れているものがあれば、それも私の存在を押しつぶすような重さ、圧、鋭さなどがある。全身の触覚が異常に強くなっていて、子供だった私はうなされ、泣くしかなかった。どう動いても触れているもの全てが強烈なのだから逃げようがない。母が心配して私を起こし、「どうしたの?」と訊くが説明の仕方が分からない。ある時こっそり読んだ(笑)母の育児日記には「よくうなされて泣いている。」と記述があった。
起きている時も似た感覚に襲われることがあったけれど、意識的に違うことにフォーカスしているうちにそれは消えた。中学校に入るとほとんどなくなったが、20代まで、年に一度くらいその感覚がふと襲って来ることがあった。
大人になってから、話題がなんとなくそういう方向になった時に、人にそれを話す機会が何度かあったけれど、今のところ誰一人同じような感覚を経験したという人には会っていない。例えば「物から延長線が見える」という感覚を持つ人は何人もいて、それを共有できるらしいのだが。
触覚だけが異常に強くなって、あんなにうなされて泣いたのだから、五感全てが普通の地球人より強かったクラーク・ケントは気が狂いそうだっただろうと思った(いや、フィクションだから)。
私のケースは、成長段階で、シナプスから出る伝達物質の量がおかしかったのかも知れない。同じ経験をしたことのある人に是非とも出会ってみたい。もしかしたら、同じ星から来た人なのかも知れないしね。
我々が五感によって認知して事実だと思っているこの物質世界のことは、脳が創り上げた幻だと言われるのも、私の子供の頃のその経験に照らしてみれば納得がいく。
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