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樹木葬

数週間前に、離婚したドイツ人の夫の育てのお父さん(血は繋がっていない)であるGさんが亡くなった。

娘にとってはおじいちゃんも同然でかわいがってもらっていた。私の母と同い歳だった。数年間認知症を患っていた。

私は前の夫とは今でも良い友達で、離婚後も娘のことで色々連絡を取り合うことはもちろん、互いの引っ越しを手伝ったりもした。私が最後にGさんに会ったのは、2017年の引っ越しの時に前夫と一緒に手伝いに来てくれた日だ。大きな家具を運んでもらったお礼に、前夫とGさんにカレーライスを作ってごちそうした。普段アジア系の食事に慣れていないGさんは「これは〇〇子が作ったのか。美味いな!」と言ってくれた。

私と娘はその後国境をまたぐ引っ越しをしたのと、Gさんの認知症が急速に進行してしまったのとで、私がその後Gさんに会うことはなかった。

Gさんは前夫が子供の頃は、同居してパートナーである前夫のお母さんと一緒に育ててくれていたが結婚はせず、前夫を息子として認知もしなかったし、後にはお母さんとも別れて、認知症が発症するまではずっと一人暮らしをしていた。おそらく私の娘はたった一人の孫同然の存在だったと思う。我々が結婚している間も本当に色々とお世話になった。

詳しいことは前夫に聞いていないが、Gさんはひとり身だったからか認知症になる前から、Baumbestattung=樹木葬を希望していたのであろう。私は仕事のスケジュールがどうしても葬儀の日取りと合わせられず、出席できそうにないため花を送りたいが、、、と前夫に相談すると、樹木葬だから、森に花を持ち込むこともできないのだと教えてくれた。日本の樹木葬はどうなのか知らないけれど、こちらでは本当に自然の中に遺灰を還すだけの葬儀らしい。ただし樹を選ぶこともできるし、森のどこでもいいとお願いすることもできるのだとか。

私は以前は、自分が死んだらヨーロッパのどこかの海に灰をまいてほしいと漠然と思っていたが、樹木葬の話を聞いて、そちらの方が嬉しいかも、と思った。娘には「私の時も、それにして〜」と言ってある(ちゃんと書面で残したほうがいいよね(笑))。

ま、日本には私の両親と妹もいるし、今は好きなようになんでも決められる自由があるけれど、この先のことは分からない。そして今それをあれこれ心配してもあまり意味がない。

だから今、毎日を楽しく生きるのみ。

お隣さんの鶏が2羽から5羽に増えた。全部毛色が違う。昼間は庭に放してあるのだが、芝生の上をのんびり散策する彼らの姿を見ると癒される。かわいい・・・

実は以前娘と鶏を4羽飼っていたことがある。娘がヒヨコから育てた子たちだ。その時は全部同じ茶色だったから、名前をつけようとしたが、特にうるさい一羽を除いて、どの子がどの子なのか分からなくなってしまった。うるさい一羽は「モーモー」ちゃんだった。毎朝取ってきた卵で卵焼きを作れるのは本当に幸せ。

そしてこれまた近所の黒猫ちゃん、いつも私を見ると通りの反対側から鳴きながら私の方に一直線に渡ってくる、愛おしいやつだ。今は動物を飼っていないから、こういうのはたまらんな。


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