なおのA to Z:【J】Japanese
日本語って難しい。
いったいぜんたい、日本語を第2言語として学ぶ人たちはどうやって学んでいるんだろうと、いつも不思議に思う。
だって、ですよ。同じことを言うのにどんだけバリエーションあんねん、って話ですよ。
スペイン語を学ぶ時に、主語による動詞の活用の種類が多くてうげっと思ったけれど(わたし、あなた、彼/彼女、私たち、あなた達、でそれぞれ活用が変わる)、とはいえルールさえ覚えてしまえばいいだけの話。
それが日本語ときたら、話す人によって語尾は変わるし、単語の活用(と言うのか?)も変わる。
例えば、「今日わたしは髪を切りました」。
まず「わたし」は、わたし、うち、あたし、おれ、ぼく、わし、わたくし。方言が入ったらもう数えきれない。わい、とか、わ、とかもあるよね。
っていうかもはや主語を省略して、「今日髪を切りました」でもいけちゃう。
で、「髪を切りました」。髪切ったわー。髪切ってん。髪切ってきた。髪切ったよ。髪切ったの。髪切ってんわ。髪切ったんだー。
髪切までは同じだけど、語尾の多様なことよ。過去形だか現在形だか未来形だか、どうやって判断するんだろうか。
しかも漢字とひらがなとカタカナがあるなんて。Blueという色だって、あお、アオ、青、全然雰囲気が違うし、ましてや青、蒼、碧、同じあおでも違う色。ひゃあ。
日本語ほど個性が出る言語って、ないんじゃないだろうか。
でも、日本語って美しい。
インターナショナルスクールにいた頃、ある日の授業で、詩だったか文章の一部だったかを母国語で読んでみよう!ということを先生が思いついたことがあった。わたしは日本語で読んだのだけれど、それを聞いた先生が「えっ、ちょっ、もっかい読んで!何それ、響きが美しすぎるんだけど!」と興奮し、結局3回読んだ。
確かに日本語は、音の流れが他の言語とはちょっと違う。なめらかで、よどみなく、音がすべっていく。イントネーションやリズムも違う。そんなこと考えたことなかったけれど、あの授業以来、何かの言語に触れるたびに、言語を音で捉える癖がついた。
もちろん、どの言語もそれぞれ良さがあって、それらを形容するとしたら、おしゃれさや、陽気さや、複雑さや、力強さ、とかで、日本語はやっぱり、"美しい"という形容詞が似合う。
そんな難しくも美しい日本語。せっかくだから丁寧に言葉を選んで発したり紡いだりしたい、と切に思う。
ちなみに。祖母は短歌を詠む歌人で、90歳を超えた今でも、毎日寝る前に歌を詠んでいる筋金入りの日本語ユーザーだ。祖母の歌集は、美しい言葉が美しい並びでおさめられている(ただ、わたしの語彙力が追いついていなくて、読み方すらわからない言葉もたくさんある)。妹はその血を継いだのか、昔からよく詩や文章を書いていた。母は、とにかく字がきれいで、お手本のような字を書く。
つまり、わたしの血縁には日本語の扱いが上手いひとたちがいる。なので、わたしにもその血がちょびっとでも流れていると信じたい。うーむ、日々精進。
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