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若かったなあ、と言えばそれまでかもしれないけれど

時々唐突に思い出す景色がある。それは思いもかけないタイミングでふわっと脳裏に蘇って、一瞬で私を過去へと連れ戻していく。

例えば今日、テレビを見ていて、ニューヨークの街並みを見た時に思い出したのは、高校卒業してすぐ、初めて1人で飛行機に乗って初めて1人で海外に行った時のこと。それがワシントンD.C.とニューヨークだった。

あの頃の私は、ずいぶんと世界を知ったつもりになっていて、今から思えばとっても怖いもの知らずで、無防備で、そしてがむしゃらだった。世界はいかようにも良くなると思っていたし、自分も何かしらそこに関わっていけるのではないかとすら思っていた。

若かったなぁ、と言えばそれまでかもしれないけれど、今の私から見るとあの頃の私はとても眩しく思える。

様々な国から集まった同い年の若者達と、今後世界をどう変えていけるかなんて話をしたりして、あの頃はそれが実現できるのかとか、現実性とか、そんな事はちょっと横に置いておいて、理想の世界を熱く語った。

大人になって、社会人と呼ばれるようになって、いつの間にかずいぶんと注意深く安全な道を選んで歩くようになっていたのかもしれない。諦めも、覚えた。理想とか夢とか欲望とか願望とか、そういうものを私はどこに置き忘れてきたんだろう。

よく言われることがある。ガツガツしてないよねとか、欲がないよねとか。それはもはや今となっては私の個性のようなものとして扱われることも多いけれど、それでもそうじゃない時期もあったのだと、テレビを見ながら思い出していた。そして私はあの頃の自分が決して嫌いではなかった。むしろどちらかと言うと、好きだった。

多分本当はちゃんと考えさえすれば、私にもあるんだと思う。こうしたい、こうなりたい、これをやりたい。でもいつの間にかそんなことを口に出すこともなくなって、それらの想いたちは形になる前に空気中に溶けていってしまった。

ずいぶんたくさんの街を訪れたけれど、そういえばニューヨークはあれ以来行っていない。あの時は目に映るすべてが新鮮で、刺激に溢れていたけれど、今の私が訪れたとしたら、また違った景色が見えるのかもしれない。それと同時に、あの頃の自分に少し、戻れるのかもしれない。一度わたしの中の凝り固まったネジを緩めて、またきゅっと締め直して、次の一歩を踏み出せるかもしれない。

アナザースカイと呼ぶには少しおこがましいけれど、それでもニューヨークは確かに、私を形作る大切な1ピース。あのニューヨークの日々を一緒に過ごした仲間たちは、今どこで何をしているんだろう。

#アナザースカイ #つぶやき

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