大人の社会見学②余白が生み出すゆとり:FACTORY FRONT
"地域のフロントマンでありたい。だから会社の名前は、FACTORY FRONT"
そんな想いと決意が込められた会社の社長の武田さん。ショップに立ち寄ったらたまたまいらっしゃって、製品に込められた想いをうかがうことができた。
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武田金型製作所。
新潟県燕三条にある、金型の会社。薄い金属の板をプレス機でがしゃんとすると成形されてスプーンやフォークや鍋やパソコンや携帯のカバーやいろんな部品ができあがる、そのがしゃんとする型紙を金型というそうで、それを作っている。
武田さんはその会社の現社長の息子で、一度他社で働いてから戻ってきたそうだ。そこから独立してFACTORY FRONTを立ち上げ、mgnというブランドで、武田金型製作所の高い技術でつくられた"よいもの"を世に送り出してきた。
それがこの名刺入れ。
マグネシウム製で、持ってみると大袈裟でなくびっくりするぐらいに軽い。
他にも、真鍮、アルミニウム、ステンレスなど、様々な金属素材の名刺入れがあって、どれも素敵。
でも、名刺入れ持ってるしなあ。
…って、思いますよね。
わたしも思った。
でも。
これを見てほしい。
"名刺入れだからといって、名刺を入れなきゃいけないわけじゃない"。
そんな発想、今までなかった。
武田さんは言う。
"これを何に使うかという余白を残すことで、ゆとりが生まれるんだと思う"
たしかに、これを持っているだけで、今日はここに何を入れようかって考えるのが楽しみになる。それってなんてわくわくなんだろう。
ちなみにこの発想は、ある展示会でのオランダ人女性との出会いから来ているそうだ。その女性は、mgnの名刺入れをいくつかまとめ買いしたため、なんでいくつも買うのか聞いたところ、"だってその日の気分で今日は何色のケースに何をいれようかなって考えるのが楽しみになるから"と答えたと。なんて豊かな生き方。
そんなエピソードを聞いたわたしは、マグネシウム製のネイビーを購入。クレジットカードとau walletとSuicaとお札を何枚か入れて、旅の間のお財布にした。
長岡市にあるセレクトショップで買った米袋製のポーチとmgn。旅行中、日中はこれとカメラだけで動いていた。
ものすごく、身軽。旅のスタイルが、がらっと変わった。愛おしいモノがまたひとつ。こんな出会いが燕三条で待っていたなんて。
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つくった人、売っている人の想いを知った上で買うものは、いちだんと、愛着が湧く。だから今回みたいに、つくり手さんに会いにいく、というのは、わたしが憧れるモノを大切に使う生活において、とても大事なことなんじゃないかと改めて思う。
mgnはこの夏、FORというブランドに生まれ変わってまた新たなチャレンジを始める。東京にもお店があるし、オンラインでも買えるので、身軽に生きたい人に、とってもオススメ。
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そうそう、燕三条のフロントマンである武田さんは、毎年秋に開催される工場の祭典の実行委員でもある。燕三条の産業の伝統と今がぎゅっと詰まった素敵なイベント。こちらも要チェック。
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