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何をすれば「心のマネジメント」が実現できるのか?■□下田コラム□■vol.93

前回は「心のマネジメント」がある組織とはを説明してみた。

「心のマネジメント」が効いているためには、最初に組織の状態を把握することが重要である。

心の状態は、次の2つの軸でみていく。

ひとつは「存在感」の強弱だ。
存在感は、自尊心が満たされている度合いを示した指標であり「働きがい、やりがい」を感じているほど強くなる。

もうひとつは「不安感」の強弱だ。
不安感は職場の秩序の保たれていると低くなり、働きやすくなる。

「不安感」が弱く「存在感」が強ければ、仕事に誇りを持ち意欲的な状態であるといえる。
反対に「不安感」が強く「存在感」が低ければ職場に適応できず、つらい状態であるといえる。

この2軸で個々の従業員を見つつ、組織全体の傾向も見ていくのだ。

普段から組織をよく見ていれば、おおよそ従業員がどの位置にいるか、組織の傾向としてどうであるかはつかむことができるはずだ。

正確につかみたい場合はアンケートを実施する。
弊社では、ICMというWEBで簡単にできるアンケートを用意している。

いずれにしてもこの状況把握が必要である。
状況に応じてその処方箋は異なるからだ。
しかしながら、ここを漠然とさせて組織風土改革のためのリーダー研修などに入ってしまう企業が多い。

2軸でわけると、個人は次の4つのどれかに当てはまることになる。

  1. 満足群:仕事に誇りを持ち意欲的な状態

  2. 承認群:認めてもらえないために自分に自信がもてない状態

  3. 配慮群:自分に自信はあるが、人とうまくかみあっていない状態

  4. 成長群:職場に適応できずにつらい状態

上司はそれぞれの従業員がどこに当てはまるのかを知った上で、個別に対応していく必要がある。

例えば、満足群にいる人に対してはチャレンジングな仕事を任せて、本人の裁量を多くしてあげる。また、メンターとなって後輩の面倒を見るように指示することなどが重要になってくる。

承認群の人は1 on 1ミーティングを実施したり、マメなコミュニケーションをはかり意図的に承認する機会を多く持つようにすると効果的だ。

このように個人の状況を分析し、それに応じた対応策をあらかじめ立てることが重要である。

弊社ではA3一枚のシートを使い、管理職に3か月間の対応策を考えてその実行スケジュールを立ててもらう研修を実施している。

ポイントは個別の対応策をしっかりと立てることと、それが実行できるように「どんな時に何をやるのか」をスケジュール化し、チェックできるようにして日常の中で忘れないようにする仕組みを作っておくことである。

そして、これを管理職個々人に任せると、やる人、やらない人、忙しさの中でできない人が出てくるので、定期的に時間をとって管理職を一堂に集め、その場でやってもらうようにするのが重要である。

個々人への対応を決めるのと同時に組織全体へのかかわりも決める。

組織全体の傾向は、5つのタイプにわけることができる。

  1. 理想型:従業員の大半が満足群にいて、職場のルールを尊重してお互いを認め合う雰囲気がある組織

  2. 崩壊型:理想型の真逆であり、職場に不満が渦巻き、従業員はやる気を失っている状態

  3. 管理型:職場のルールは確立されているが、上下関係が強く評価され自尊心が満たされている人とそうでない人に差があるような状態

  4. なれあい型:コミュニケーションは活発で一人一人の自尊心は満たされているが、職場のルールが緩いためなれあいで不安を感じている人がいる状態

  5. 荒れ始め型:満足している人とそうでない人が二極化しており、つらい思いをしている従業員が少なからずいる状態

ICM WEB診断(例)

この5つの傾向を知った上で、個々人にしたように組織をどの型にもっていくかを決め、そのためにどうような策を講じていくのかをあらかじめ決めることが重要だ。
その時に、やりがちな間違いは「理想型」が良いからといって、すぐにそこを目指すということである。

最終的には「理想型」にいくのがいいわけだが、3か月と区切ったときに、この3か月のゴールはどこなのかを具体的に決めることである。

「この3か月限っては”なれあい型”の状態からルールを徹底させ”管理型”に持っていこう」と決める。そして次のステップで「”管理型”から”理想型”に持っていこう」と決めたりするのだ。

例えば、なれ合い型の脱却として「挨拶」や「職場の整理整頓」を徹底させるなどもある。会社全体で取り組むならば、従業員を巻き込んで就業規則(特に服務規律の部分)を作成するなどもある。

このようにして、意図的に具体的な取り組みをしていくのだ。

最後にまとめると「心のマネジメント」の実現は次のとおりだ。

  1. 個人と組織の状態を把握する

  2. 個人、組織それぞれに期間を区切って、どこをゴールとするのか明確にす

  3. 先に「何をやるのか」「どう継続するのか」をスケジュールする

  4. これらを管理職個々人に任せるのではなく、定期的にみんなが集まりその場で決めていく

これを繰り返していくことで「心のマネジメント」がDNAとして企業の中に組み込まれていくことになる。



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