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『なかぽつ/就ぽつ』とは?障害者就業・生活支援センターについて

障害者就業・生活支援センターは、その名称の長さや似たような名称の施設も存在していることから、就業と生活の間の「・」をとって「なかぽつ」や「就ぽつ」と呼ばれることの多い公的機関です。

ここは、障害を抱えている方の就業面と生活面の自立に向けて、一体的に支援してくれる頼りになる施設です。

この記事では、障害者就業・生活支援センターの概要や支援内容、詳しい利用方法などを紹介していきます。


1. 障害者就業・生活支援センターとは

障害を抱えている方の「就業面」だけではなく、「生活面」も合わせて自立していくことを目的とした施設です。

公的機関であるため、雇用や福祉といった様々な関係機関と連携して支援を実施していくことができます。

センターの運営自体は、公益法人、社会福祉法人やNPO法人等が、都道府県から指定を受けて行っており、全国で337箇所設置されており(令和5年4月1日時点)、地域に根付いた支援を行っています。


2.支援の内容

①就業支援

障害者就業・生活支援センターには、就業支援担当員が配置されており、就業面に特化した支援を行います。

初めにあなたの抱えている障害や生活状況、就労希望や職歴、現在働いている場合は就労状況などを詳しく伝えましょう。

面談の結果を基に最適な支援プログラムが作成され、支援が実施されます。


・就業準備

履歴書の書き方や添削、面接試験の練習、一般的なビジネスマナーといった、働くために必要な知識やスキルを身につけます。


・職場実習

短期間、実際に企業で働いてみることで、就業後の姿を具体的にイメージしやすくなり、就業に必要な挨拶やマナー、求められる知識やスキルを効率的に学び、吸収することができます。


・職場定着支援

就職後、安定した就労を継続できるように、就業支援担当員が就職先を定期的に訪問して、あなたに必要な支援を実施してくれます。

また職場環境や仕事に関する悩みや困りごとを相談することもできます。

また抱える障害によって休職してしまう場合も、復職に向けた支援を行います。


②生活支援

障害者就業・生活支援センターには、生活支援担当者が在籍しており、障害を抱えている方が就労しながら、自立生活を送るための支援を行います。

朝起きられない方には、規則正しい生活を身につけるため生活習慣の改善を行い、健康面で不安がある方には、服薬管理だけでなく主治医と相談しながらアドバイスをします。

その他にも金銭管理、障害年金の手続き、障害福祉サービス、住まいに関すること等、あなた生活に関する幅広い内容を相談することができます。


③関係機関との連携

公的機関であることから、様々な関係機関と連携した支援を実施することが可能です。

例えば、就労面ではハローワーク、地域障害者職業センター、職業能力開発校など、生活面では医療機関、福祉事務所、市区町村の障害福祉担当課などが挙げられます。

抱えている悩みや困りごとの相談先が分からないときには、障害者就業・生活支援センターへ相談してみると、解決に繋がることもあるでしょう。


3.利用の対象となる方

身体障害・知的障害・精神障害・発達障害・難病などの障害を抱えている方が対象です。

原則は障害者手帳(または手帳相当のもの)を所持している方が対象ですが、所持していなくても、医師の診断書があれば利用できる場合もあります。

そして就労希望者だけではなく、就労中の方でも利用が可能です。

年齢については、15歳以上65歳未満を対象としていますが、施設によっては年齢制限がない場合もあります。

まずは自分が利用できるかどうか、住んでいる地域(就労中の場合は働いている地域でも可)の障害者就業・生活支援センターに問い合わせてみましょう。


4.利用の流れ

①障害者就労・生活支援センターに電話し、面談を予約する。

基本的にあなたがセンターへ訪問し、担当者と面談する形になりますが、体調面などで訪問が難しい場合には、担当者が自宅まで来てくれることもあります。

自宅での面談を希望する場合は、あらかじめ電話で伝えておきましょう。


②担当者との面談後、センターに登録する

面談ではヒアリング後、担当者からあなたが受けられる支援についての説明を受けます。

説明を聞いた上で利用を希望するのであれば、センターに登録します。


③支援プログラムの作成と実施

担当者があなたの現在の状況から、自立生活に向けた最適な支援プログラムを。関係機関と連携しながら作成され、支援が実施されます。


④ゴール

職場に定着し、就業面でも生活面でも安定した自立生活を送ることができるようになれば、そこで支援が終了(ゴール)となります。


5.注意点

基本的に無料で利用することができますが、実習における施設利用料や交通費、その他必要経費については自己負担となります。

また障害者就業・生活支援センターが求人を抱えている訳ではないので、仕事の斡旋や求人紹介までは行っていません。

ハローワークや職業紹介会社を利用し、障害者就業・生活支援センターと相談しながら、就職先を探すことになりますので、あなた自身で動く必要もあります。


6.まとめ

ここまで、障害者就業・生活支援センターの概要や支援内容について、詳しく見てきました。

障害を抱える方の「就業」を支援してくれる施設は多いですが、「生活」も合わせて支援してくれる施設はそこまで多くありません。

また、基本的に無料で利用することができ、就職後も継続した支援を受けられることは、障害を抱えながら就業を目指す方にとって心強い施設と言えるでしょう。

利用には面談や登録が必要ですが、様々な場面において助けになってくれます。

今現在悩みや困りごとを抱えている方、安定した自立生活を目指す方は、まずお近くの障害者就業・生活支援センターへ問い合わせてみましょう。