改ざんされた記憶・・・

過去に経験した出来事の記憶が、現在の決断を惑わせることがある。

記憶が意思決定に影響を与える仕組みを、メモリーバイアスという。

メモリーバイアスそのものは誰にも備わっているもので、決断を歪める仕組みではない。

過去の経験を踏まえて、次はこうしようと考えるのはむしろ健全な決断の手順である。

ただ、メモリーバイアスがネガティブに働くケースがある。

それは参考にしている記憶そのものが、歪められている場合。

記憶が歪められていると聞くと、何だか恐ろしい出来事のように感じるかもしれない。

でも、記憶というと実は柔軟で、時間とともに変化してしまうもの。

ケンカ別れした学生時代の恋人の記憶が、時間がたつにつれ楽しかったデートやかけられた優しい言葉の印象が強くなり、いい人だったと美化されていく。

一時は親友だと思えた友達の裏切りが許せなくて、険悪なやりとりの記憶を何度も思い出し、最悪の人だったと嫌悪してしまう。

こんなふうに、過去の記憶がいつの間にか改ざんされてしまうのは、よくあること。

問題は、改ざんされた記憶であってもメモリーバイアスが働いてしまうこと。

美化しすぎた記憶、悲観しすぎた記憶を土台にして、今の出来事を決断してしまうことにより、公平な意志決定ができなくなってしまうのである。

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