古代ギリシャの時代では・・・

はるか昔、人間が狩猟生活をしていた旧石器時代くらいにさかのぼると、逆に目の前の誘惑に負けて衝動のままに行動する方が有利だったと考えられる。

狩りに出た先で、甘い果実がなっている木を見つけて、「甘いもので糖分を補給したい」と思ったら、「獣肉を獲りにきた」という本来の目的を放り出してでも、すぐに果実を手に入れる衝動に任せた行動が求められた。

保存も利かない時代なので、見つけたらすぐに採って食べる必要があった。

その時代、その日その日を生き延びるという目的のためには、こうした衝動的な決断や行動こそがもっとも正しい選択だった。

しかし、時代が進むにつれて、そうしたその日の生存の心配よりも、もっと将来を考えた長期的な計画性がより重要視されるようになった。

そのため、昔は生存に有利だった衝動的行動が逆に邪魔になり、代わりに「先延ばし、誘惑に勝てない」という不利な性質になったと考えられる。

古代ギリシャでは、哲学者アリストテレスが著書である『ニコマコス倫理学』の中で、マラキアと呼ばれる性質について論じている。

マラキアとは、やるべきことを実行しない性質=先延ばしのこと。

実は、マラキアという言葉には、現代ギリシャ語でゲス野郎という悪いスラング的な意味がある。

先延ばし=ゲスはさすがに言い過ぎだが、アリストテレスの時代には、すでに先延ばしは良くない性質だと捉えていたことがわかる。

こうした視点から見れば、衝動的な行動やそれに伴う先延ばしは、先祖の時代から、私達誰もが遺伝子に刻み込まれている潜在的な性質とも考えられている。

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