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めっちゃちょっと見えた

今日はどうやら祭りのようだ。ようだというのは、花火が見えたし、世間的にそのような季節だからだ。岡山に祭りを一緒に行くような友達もいないし、家にテレビもないので、知らないけれど。

朝からずっといるこの一人暮らしの部屋にクーラーのドライモードを効かせて夜ご飯を食べていると、外から発砲音がする。しかも何発も。なんだなんだと、野次馬の性が出てしまって、窓を開ける。もったりとした空気の中に、発砲音がまた響き渡る。どこだどこだと住宅の灯りで一層暗く見える闇のなかで目を凝らす。やっと見つけたものは、マンションの脇から見えた花火だった。

小指ほどしか見えない花火であるが、久しぶりにみると心が躍る。
子供の頃、家族でよく花火を見に行った。慣れない草履を履いて足が痛いと文句を垂れながら、雑踏の波をかき分けながら迷子になるまいと綿菓子と親の手を握りしめたのが、鮮明に思い出せる。20年も前のことなのに。色とりどりの花火、少し大きくなってからはキャラクターの花火があったっけ。祭りの日は学校の友達、親の友達や親戚の家にハシゴして、美味しいジュースやお菓子をたくさん食べた。ちょっと小高い丘に立つ家には花火がよく見えるからと、たくさんの人が集まっていたような。あら、あなたも来たの、みたいな雰囲気の中、家に上がらせてもらった小っ恥ずかしさは花火よりもちゃんと覚えている。

今日は一人で花火を見た。一片しか見えなかったけれど、夏の記憶を思い出すには、それで充分だった。


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