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吉田田タカシさんによる第4回「これからの価値づくりセミナー」

「これからの地域を支えるデザイン経営」を本気で学ぶ場所として、2023年にスタートした越前鯖江デザイン経営スクール。

2024年1月13日(土)に第4回「これからの価値づくりセミナー」を開催。トーキョーコーヒー代表の吉田田タカシさんに「チロル堂ー社会を円滑に美しくする、本来のデザインー」というテーマで講演いただきました。「これからの価値づくりセミナー」は今回が最終回。どんなお話が聞けるのでしょうか。

【他のセミナーの様子はこちら

講師プロフィール
吉田田タカシ|トーキョーコーヒー代表
1977年兵庫県生まれ。大阪芸術大学卒業。スカバンド 「DOBERMAN」のボーカル 、アートスクール「アトリエ e.f.t. 」主宰 、「まほうのだがしやチロル堂」共同代表、登校拒否の子どもから大人が学び社会を変える「トーキョーコーヒー」代表を務めている 。

関西弁が心地よい吉田田さんのトークライブ

DOBERMANというバンド活動や大学講師など、様々な活動をされている吉田田さん。そのなかで、吉田田さんを象徴する3つの取り組みについて紹介いただきました。

アトリエe.f.t.
「つくるを通していきるを学ぶ」を掲げるアートスクール。吉田田さんが大学在学中に立ち上げて現在25年目だそう。正解があることが前提の学校教育とは異なり、正解のないものを自由につくりあげることで、人生を自分ごとにするスクールです。

「学ぶことは正解を暗記することではなく、答えを探究し自分たちでつくること。未来を自分でつくるスキルを身につけて、人生の消費者ではなく 『つくり手』になることを目指します」と吉田田さん。学校では支援学級に通っている子どもが、アトリエe.f.t.ではトップクラスの才能を発揮しているエピソードからも、学力だけでは子どもたちの能力は測れないのだと強く感じます。

まほうのだがしやチロル堂
チロル堂は、奈良県生駒市にある少し変わった駄菓子屋さん。従来のこども食堂に存在していたバグを解消するために、吉田田さんがつくった楽しい仕組みです。

入口には駄菓子コーナー、奥にはカフェスペースがあり、子どもたちは1日1回100円でできるガチャで、駄菓子を買ったりカレーを食べたりできます。大人は飲食をすることで代金の一部を寄付(チロる)できるほか、本の読みきかせをしたり、サブスクで寄付をしたりなど、関わり方は様々。

地域全体で子どもを育てる仕組みでありながら、実はメリットを享受しているのは大人。というのも、分け合うことや地域と密接に関わることへの喜びを大人が学べる場所だというのです。

チロル堂の取り組みは、2022年のグッドデザイン賞にて内閣総理大臣賞を受賞!

「ひとり勝ちの時代はおわり、どうやったらみんなが共存できて幸せになれるかを考える時代になりつつあります」と吉田田さん。チロル堂は、みんなが楽しみながら社会を変える仕かけなのです。

トーキョーコーヒー
トーキョーコーヒーとは、東京でもコーヒーでもない、登校拒否のアナグラム。「問題はこどもの不登校ではなく、大人の無理解」という視点から、大人が楽しく活動しながらこれからの教育・社会について学び合う場所です。そして、戦後から続く、子どもたちを均質化する教育システムを塗り替え、アップデートするためのムーブメントなのだといいます。全国に約350拠点あり、福井県内にも4拠点あります(セミナー時点)。

吉田田さんによると、不登校は現代社会が抱える問題から出てきたひとつの症状であり、全国に約30万人いる不登校の子どもたちは、変わろうとしない日本の教育に対してアクションを起こしてくれているのだそう。「偏差値=お金=幸せ」と思い込んでいる大人たちが、こどもを均質化して測ろうとしている現状。日本が先進国として居続けるには、大人の価値観を進化させなければならないと吉田田さんは考えます。

キャッチーな「お便り募集のコーナー」では、受講者からたくさん質問をいただきました。

最後に、社会に必要なデザインについて教えていただきました。「今の社会に必要なのは、大人の価値観をいつの間にか変えてしまうデザインです。人は楽しいから集まります。ネガティブなものをポジティブに変えて、みんなで楽しく社会を変えていきましょう!」

吉田田さんのトークをまとめたグラフィックレコード

日本の教育をアップデートするために奔走する吉田田さんのトークには、大人たちがハッとさせられる言葉がたくさん。私たちが社会活動を行う上で、根幹に据えなければならない価値観がスッと入ってくるセミナーでした。

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4回にわたる「これからの価値づくりセミナー」がすべて終了。「サーキュラーエコノミー」や「これからの工芸」「ソーシャルデザイン」「素材のデザイン」といった様々な切り口で、デザイン経営に役立つお話を聞くことができました。2024年度も開催をお楽しみに!

(文:ふるかわともか)

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