まいにち決算⑦【ニンジャラはガンホーの第2の柱となるか?】
大阪大学企業・投資研究会です!
今日は11/13発表のガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社の2020年7月~9月の四半期決算を見ていきます!
企業の概要と事業内容
ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社
・1998年設立
・社員数1304名(単体:407名)
・企業理念:「感動と楽しい経験」を提供する
・スローガン:Smile for Everyone
ガンホーは『パズドラ』で有名となったゲーム提供会社で、事業セグメントもオンラインゲームの企画開発・運営・配信事業のみです。
ちなみに社名の「GungHo」は"熱烈な" "熱心な" "忠誠な"という意味や、「協力してやろう!(work together)」という意味が籠められているそうです。(日本語の「エイエイオー」に近い意味らしい…)
基本的なビジネスモデルはゲーム内のアイテム課金で、AppleやGoogleなどのプラットフォーム、携帯キャリアやカード会社等への手数料を天引きされた残りがガンホーの収益となります。
ちなみにアメリカでは、このプラットフォームを通さないと収益が入らないシステムに異を唱えた『フォートナイト』提供会社のEPIC GAMESとプラットフォーム側のAppleが法廷闘争をしています。
システム自体が変わることはないと思いますが、プラットフォームの在り方を巡る興味深い例なのでぜひ読んでみてください!
決算
それでは決算書を見ていきましょう!2021年12月期 第3四半期決算です!
ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社 2021年12月期 第3四半期決算説明会資料
QoQで売上高は増加しましたが、営業利益などの利益項目は減少しました。
売上総利益は増加しているので、減益は販管費の増加分が要因です。
その他の増加分が多いですが、これは新作ゲームの配信開始に伴う減価償却費の増額が寄与しています。
さらに貸借対照表を見ると、ソフトウェアが大幅に増加していたので少し気になって調べてみました。
ソフトウェアとはコンピュータを動かすプログラム等の事で、主に市場販売目的と自社利用目的のものに分かれます。(この辺は簿記で学びましょう)
開発途中のソフトウェアの開発費用が充てられる「ソフトウェア仮勘定」が減少して「ソフトウェア」の資産が厚くなったことから、制作が完了しソフトウェアを利用し始めた事がわかります。
この新たなソフトウェアこそが、先ほども出てきた新作ゲームであると推定されます。この新作ソフトは後程解説します。
会社の事業展開がB/SやP/Lにどう反映されているかがよくわかる決算だったので注目してみました。
パズドラに次ぐ柱は生まれるのか?
それでは具体的なゲームタイトルの業績をみていきましょう!
『パズドラ』のMAU(月間アクティブユーザー数)の情報が出されていました。
近年は堅調にユーザー数を維持しているとはいえ、緩やかな減少トレンドなのは歴然です。
パズドラの収益=MAU数 × 課金率
課金率は横ばいで増やせていないので、MAUをいかに増やせるかがポイントになりそうです。
例年通りの大感謝祭も継続していますが、今期は特に鬼滅コラボが好調のようです。MAU数の復調が期待されます。
そして、ガンホーが新たな柱として投資を強化しているのが『ニンジャラ』です!
きゃりーぱみゅぱみゅさんのCMで認知度を高めた本作品ですが、これが先ほど何度も解説した今年発表の新作ゲーム。
Nintendo Switchでは珍しい基本プレイ無料のアイテム課金型ゲームです。
パズドラで見たように、アイテム課金の割合は大きくは上がらないため、リリース直後の今からいかにDL数を増やしておけるかが勝負となる訳です。
しかしこのニンジャラ、ガンホーの輩出したゲームの中で最も早く500万DLを達成した期待の超新星!
まだまだ売上への貢献では小粒ですが、ガンホーでは久しぶりとなるヒットIPへと成長していくのかは見物です!
Nintendoの戦略もあってSwitchは今もなお売れ続け、ゲームプラットフォームとして長寿化しているので、そこで影響力のあるブランドに育て上げることができれば面白くなってきます!
ガンホーでもそれを見込んで多様で大規模なクロスメディア戦略に投資しており、今後も拡大していく方針との事。
果たしてニンジャラはガンホー第2の柱として立つのでしょうか?
Q4ではガンホーは広告宣伝費が増加して減益になりそうですが、それ以上にニンジャラのDL数や課金率などの具体的な指標を楽しみに待ちたいです!
本日のまいにち決算は以上です!読んで頂きありがとうございました!
途中で解説した、損益計算書や貸借対照表などの”決算書”の理解には、大手町のランダムウォーカーさんの「世界一楽しい決算書の読み方」がオススメです!
また、ソフトウェア資産や減価償却から新作ゲームに関するトピックを読み取ったような、より細かい決算書の分析がしたい方は、シバタナオキさんの「MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣」がオススメです!
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