女医が結婚するために社会人3年目で大学院に行こうと思った話
私は医学部を卒業して2年間の初期研修を終えた後、すぐに公衆衛生大学院に進学しました。
公衆衛生大学院は医師のキャリアの一つと捉えられることも多く、珍しい選択肢ではありません。でもたいていは、社会人6年目以降に進学する人の方が圧倒的に多くいます。
初期研修を修了すると保険診療、いわゆる医師としての仕事ができる資格が貰えます。しかし実際には、専門分野に特化した知識と経験を身に付けるため、その後も後期研修医として働くことを選ぶ人がほとんどです。後期研修後のキャリアは人によって様々で、このタイミングで大学院進学する人は多い印象です(後期研修と同時並行で大学院で勉強する人もいます)。しっかり専門分野を確立してから、キャリアを開拓するという道は真っ当な選択肢だと思います。
私も当初は社会人6年目以降に大学院へ行こうかなと思っていました。でも今後のキャリアを考えれば考えるほど、自分にとって本当にそれがベストなのか?!と悶々としてきました。
というのも、初期研修を終えた直後の社会人3年目の私は27歳。社会人6年目になると30歳です。初期研修医として休日や夜間にも働いていた私は、さらに重い責任を持つ後期研修医として働きながら、キャリアの重要な要素である人生のパートナー探しが出来るとは到底思えませんでした。
初期研修中に学生時代から付き合っていた彼氏と別れた私は、漫画「逃げ恥(恋愛/結婚観を考える要素もりもり)」や書籍「Life Shift(これからはパートナーと補完しながらキャリアを積む時代!)」などを読んで、自分の理想のパートナー像をあれこれ妄想していました。やっぱりお互い働きつつ育児や家事などもシェア出来て…デュアルキャリアを一緒に築いていけるような…柔軟な価値観を持つ人とパートナーになりたい!そしてそれは実家のある地方ではなく、都会にいるうちの方が出会いの確率が高い!と考えたのです(安易…!)。
信頼できる人に相談すると、経験が浅いうちに大学院に行っても研究テーマが見つけにくい、アルバイトが見つけにくくて生活が苦しい等、色々とデメリットも教えてもらい悩みました。ただ、この頃ちょうど一つ上の学年の仲がいい友達たちが、初期研修直後から産業医や起業など自分の道を進む選択をしたのを間近に見ていたのにも背中を押されました。そして同時に、結婚後に育児や家事のために自分の好きなことに時間がかけられない…という先輩の話も聞くようになってきました。
もともと大学時代から公衆衛生に興味があり、初期研修中もその興味が消えないどころか強いことを確信したので、だったら結婚したい(けどしてない)独身のこのタイミングで好きな事しよう!ついでに良い人に出会えたら最高(授業大変だろうけど当直ないし出会い頑張ろう)!という事で、初期研修2年目の春頃に、夏の入試に向けて準備することを決めました。
その後は初期研修後すぐに大学院で研究することを見据えて、初期研修2年目から初心者向けの臨床研修の外部プログラムに参加したり、IELTSのスコアを上げるために語学学校のオンラインレッスンを受けたりして、なんとか合格を頂きました。
肝心の出会いはと言うと、実は初期研修最後の冬に以前からの知り合いと仲を深める機会があり、付き合うことになり、無事に大学院在学中に結婚しました。結果的には後期研修をしていても付き合っていたかもしれません。が、当直がなく土日も予定を合わせやすかったので、デートもしやすく一緒に良い時間を沢山過ごせたというメリットも、割と早い結婚に繋がったのかもな〜なんて思っています。尊敬できて価値観も合うし最高!と思った人とパートナーになれたて良かった。もちろん結婚後、出産後、育児が始まって…など新たな課題が次々と出てくるので、年々喧嘩も増えますが。
ちなみに大学院進学後、後期研修を開始した時は、抜け落ちた知識を拾い集めながら新しい環境で働き始めたので、だいぶ辛かったです。初期研修後すぐ後期研修した方が良いよって誰か教えてよ(言った)。その分、大学院で学んだメリットも沢山感じていますがそれはまた別の機会に。
自分としては、後期研修開始前はキャリアの一つの節目だと思うので、結婚ってキャリアを考える上での大きな要素だよねーという事を書き残しておきたいと思いました。あの頃の私のように迷っている誰かの背中を、押せたら良いなと思います。おしまい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?