『諦め』は大人になると身に付くもの

年齢を感じる瞬間は誰にでもあると思います。
体力的な面で感じる人が特に多いかもしれませんが、私はそれに加えて精神的にも最近は年齢を感じているところです。

転職をしていると、「前任者」という存在がいることが多いと思います。
特に営業ではなく、事務方の人には多いことではないでしょうか。
営業は人員を増やす傾向がどのような会社でも多いですし、何より新たに仕事を生み出していく傾向が強いので、業務を引き継ぐというよりも生み出すという要素が強くなります。
一方で事務方は、やり方などが人によって異なることはもちろんありますが、ある程度のベースがあって、それを引き継ぐ形での作業が多くなりますし、最小限の人員で回すことを考えるので、誰かが辞めることをきっかけに募集をかけ、増えるのではなく入れ替わりというパターンが多いと思います。

そうなると問題として出てくるのは、前任者と”比べられてしまう”ということです。
仕事が出来る、出来ないも当然のことながら、「人柄」を比べられると何とも言えない気持ちになります。

私が最初に勤めた会社では、一人事務の環境で、前任者の方が妊娠を機に退職することになったことから、その後任として私は入社をしました。
前任者の方は、仕事も出来る方で、性格もサバサバしていたことから職場の人たちみんなから好かれ、頼りにされている存在でした。
「○○さんがいなくなると困るよー」
「いつでも待ってるから、落ち着いたら戻ってきてよ」
前任者の方が社内の人にそう言われているのを聞きながら、引継ぎをするのは相当苦痛でした。
もちろん、私も何度か転職をしている中で、私自身も同じようなことを言って頂ける立場を経験した今なら、まだ理解できる部分も多いのですが、それでもやはり、そう言われている前任者の方のそばにいることは意外と辛かったりします。

同じようなことを何度か経験している中で、私が年齢を感じる理由は、『諦め』がつくようになったからです。

最初の会社では、本当に比べられることが苦痛でプレッシャーやストレス、劣等感を感じることはよくありました。
しかし今は、もちろんストレスを感じないと言ったらウソにはなりますが、それでも、前任者の過ごしてきた時間は確かにあるわけだし、性格は人それぞれ違うのは当たり前なのだから比較する必要はないと考えられるようになりました。

人に対する劣等感を全く感じなくなったわけではありませんが、ある程度は俯瞰して物事を見ることが出来るようになり、何事にもまずは適度な距離を保って感情をコントロールするようになりました。
これはきっと、年齢を重ねたからこそ身に付いた自己防衛の手段なのかもしれません。

人によっては、私の年齢をまだまだ若いと考える方もいらっしゃるかと思います。
ただ確かなのは、年齢を少しながら重ねたからこそ身に付いた「適度な距離感を保つ術」は、きっと大人への第一歩となる証拠なのかもしれないということです。


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