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神経・生理心理学③

脳機能の研究方法

 前回でも紹介しましたが、脳機能の研究方法は侵襲的方法非侵襲的方法があります。

侵襲的方法

 侵襲的方法では、脳に対して直接的な作用を加え、脳機能を調べます。

 脳障害や脳損傷を負った人の、障害やその原因を明らかにするための神経心理学的検査や、死後解剖などです。

 また、人以外の動物に対して、意図的に脳を損傷させたりして調査する方法もあります。


 あるいは、物理的に脳を切除したりするのではなく、脳に直接化学的、電気的刺激を与えて検査する方法があります。

 脳に細いチューブを挿入して化学物質を注入したり、電極を埋め込み電気刺激を与えたりする方法です。

 少し非侵襲的方法に近いですが、被験者の頭蓋骨外側から電磁コイルなどを用いて、磁気をつかった侵襲的(脳に対して直接的な影響を及ぼしているという理由で)な方法、経頭蓋時期刺激法(TMS)があります。

 侵襲的な方法であるにもかかわらず、物理的直接的刺激が発生しない意味での非侵襲性が約束された方法です。

非侵襲的方法

 生きている脳内の各部分の生理的な活性、機能を測定し、画像化することを脳機能イメージングと言います。

 これをすることで、健常者と障がい者の脳機能の比較が可能になり、その比較によって病気の診断にも用いることができます。

 脳機能イメージングを行うための測定方法として、主に以下のようなものがあります。


・脳波の測定

・磁気共鳴

・陽電子放射断層撮影

・近赤外分光法


 並べられただけでは意味が分からないので、それぞれ説明します

脳波とは

 脳内で発生する電気活動を、頭皮上や脳表、脳深部などにおいた電極で記録したものです。

 非侵襲的方法では、頭皮上からの測定になります。


磁気共鳴画像(MRI)

 体内の水素原子が特定の周波数の磁気を吸収する性質を利用し、人体に磁場をかけて体の構造や病変を撮影する方法です。巨大なドーナツですね。金属を所持してMRIを計測する部屋に入ってはいけないのは、大きなドーナツが巨大で超強力な電磁石だからです。

fMRI (functional MRI)

 MRIの原理を利用し、特定の部位の血流がどうなっているか調べる方法です。血中のヘモグロビンが酸素を持っているときと持っていないときでは磁場に対しての性質が変化することを利用しています。

陽電子断層撮影(PET)

 脳の構造ではなく、機能を画像化する方法です。陽電子を放出する放射性同位元素を目印にします。この陽電子を水やブドウ糖など、体内に取り込みやすいものと結合させ、それらを体内に取り込み、その分布状態を画像にして観察します。

近赤外線分光法(NIRS)

 波長の短い赤外線で、大脳皮質の活動に伴う脳血流量、酸素代謝量の変化を見る方法です。


 以上になりますが、パッと説明しただけではわからないと思います。私もこれだけ言われてもわかりません。

 脳を見るのには、いろんな方法があるんだな、位に思っていただければ大丈夫ですので、深く理解する必要はありません。興味のある方はググって調べればいいだけなので。

 次回は脳の機能の詳細と損傷による様々な障害について話します。

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